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国家公務員における「総合職」「一般職」「特別職」「指定職」の違いとは?

日本の国家公務員の人数は約60万人弱と言われていますが、その分類はやや煩雑なものとなっています。国家公務員の一部をカテゴライズするときに用いられる言葉として「総合職」「一般職」「特別職」「指定職」といったものがありますが、これらは複雑に交絡しています。

たとえば、


この二つの文章はいずれも怪文のようですが、いずれも正しいことを述べています。

国家公務員の分類にはいくつかの軸があります。この記事では、その一つ一つを解説していくこととします。

目次

採用区分の分類としての「総合職」と「一般職」

特に受験生の立場からすれば、最も馴染みがあるのは採用区分の分類としての「(国家)総合職」と「(国家)一般職」です。人事院の整理によれば、国家公務員の採用試験は、次のように区分されています。

採用試験の区分
  • 国家総合職:政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする係員の採用試験
  • 国家一般職:政策の実行やフォローアップなどに関する事務をその職務とする係員の採用試験

※ほかに、国税専門官・財務専門官・航空管制官等の「専門職」の採用試験が行われている。

俗に「キャリア官僚」と呼ばれ、短いスパンで昇格していくのが総合職ですね。たとえば財務省採用の総合職であれば採用後10年もしないうちに税務署長を経験しますし、総務省(自治行政局)採用の総合職であれば、10年もしないうちに自治体の管理職として出向します。最も顕著なのは警察庁採用の総合職で、入庁の時点で警部補扱いです。国家公務員60万人弱のうち、一年度における国家総合職の採用人数は1,000人に満たないので、全体で見ればかなり少数派です。

ちなみに、国家総合職の一つ前の呼び名は国家Ⅰ種、国家一般職の一つ前の呼び名は国家Ⅱ種というものですが、民主党政権における公務員制度改革により、それぞれ改正されています。当時は制度全般を見直す一環として名称も変更しようという話になっていましたが、現在のところ、名称が変わっただけでその中身は何ら変わりのないものです。

かつを

個人的には、この名称の変更は失敗だったと思います。下述しますが、「一般職」という名称は他の軸の分類で用いられている語で、交絡を招いてしまっているからです。

ちなみに、特に受験生においては、「国家一般職は国家総合職の下位互換」と誤解している方もいらっしゃいますが、まったくそのようなことはありません。このことについては以下の記事にまとめていますので、よろしければご覧ください。

国家公務員法第2条による分類としての「一般職」と「特別職」

次の分類として、国家公務員法第2条における「一般職」と「特別職」というものがあります。ここでいう一般職という語と、採用区分における「一般職」とは全く別の意味を持ちますので、要注意です。(むしろこんなややこしくなっている現在の採用試験制度が悪いと思います。)

ここで、国家公務員法第2条を引用します。

(一般職及び特別職)

第二条 国家公務員の職は、これを一般職特別職とに分つ。

 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。

 特別職は、次に掲げる職員の職とする。

 内閣総理大臣

 国務大臣

 人事官及び検査官

 内閣法制局長官

(中略)

十三 裁判官及びその他の裁判所職員

十四 国会職員

十五 国会議員の秘書

十六 防衛省の職員

(後略)

国家公務員法 | e-Gov法令検索

このように、同法第2条のいうところの特別職にあたるのは、内閣総理大臣や国務大臣のほか、大宗を占めるのは裁判所職員や防衛省職員です。

なぜ、このように裁判所職員や防衛省職員だけが特別職に該当しているかというと、その理由はその職務内容に鑑みて、特別職の公務員は三権分立の枠外にあると見なすためです。また、特別職の公務員は、国家公務員法が原則として適用されないなどの点において異なっています(ただし、ものによっては準用されているものがあります。)。

ちなみに、ボリュームで見ると、一般職の公務員と特別職の公務員はいずれも約30万人弱くらいです。「特別職」という名前からして人数が少ないのかと思えばそうでもなく、半々ぐらいのボリュームとなっています。

給与法における「指定職」とは

また、「指定職」という分類も聞くことがありませんが、これは給与法、すなわち「一般職の職員の給与に関する法律」において用いられる言葉です。該当する条文は同法の第6条です。

第六条 俸給表の種類は、次に掲げるとおりとし、各俸給表の適用範囲は、それぞれ当該俸給表に定めるところによる。

 行政職俸給表(別表第一)

   行政職俸給表(一)

   行政職俸給表(二)

 専門行政職俸給表(別表第二)

 税務職俸給表(別表第三)

 公安職俸給表(別表第四)

(中略)

十一 指定職俸給表(別表第十一)

一般職の職員の給与に関する法律 | e-Gov法令検索

公務員の給料は俸給表によって決定されます。行政職の職員であれば、大多数は第6条第1項第1号の「行政職俸給表」の適用を受けることとなりますが、指定職の場合、その職責の大きさなどから、別に「指定職俸給表」(第6条第1項11号)として俸給表を設定していることになります。その金額は行政職俸給表の最大の金額を大きく上回っており、この記事では詳細は割愛しますが、指定職俸給表の最高号俸の適用を受ける各省の事務次官の場合、その給与は年収ベースで2,300万円を超えてきます。その他、各府庁の局長級職員(年収2,000万円程度)や審議官級職員(年収1,700万円前後)が指定職俸給表の適用を受けることとなっています。

実際には、給与に限らず、単に事務次官や、本府省局長級、本府省審議官級職員のことを指して「指定職」という言葉が用いられることがしばしばあります。

まとめ

  • 国家公務員の採用区分として、「総合職」と「一般職」がある。
  • 国家公務員法第2条は、国家公務員を「一般職」と「特別職」に分類している。
    (ただし、ここでいう「一般職」とは採用区分の「一般職」とは異なる概念
  • 一般職給与法における「指定職」、主に事務次官、本府省局長級・審議官級等を指す言葉でして用いられることがある。

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