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国家公務員の「本府省業務調整手当」の金額、対象範囲等について解説します。

本府省業務調整手当(以下、「、いわゆる本府省手当は、その名称のとおり本府省(主に霞が関)に勤務する職員に支給されるものです。その金額等についてはもちろん公表されているのですが、かなり誤解の多い手当の1つだと思っています。ネット上には誤って記載されている例がかなり多いです。例えば、検索エンジンで最上位に来るような大手サイトにもかかわらず、1級職の本府省業務調整手当の金額を1,800円と紹介しているものや、そのほかにも5級職の金額を39,200円と紹介しているもの、7級以上の金額を29,300円と紹介しているものなどがありますが、全て誤りです。

かつを

本府省業務調整手当は職員の中でもかなり誤解されている手当です。ネット上で一見した限りでは、情報が全く誤っていないサイトの方が少数だと感じました…。

この記事では、本府省業務調整手当の金額等について、根拠法令も交えて正確な情報をお伝えします。

目次

本府省業務調整手当の金額

本府省業務調整手当の金額は、職務の級によって変動しますが、行政職俸給表(一)の対象職員の場合、その金額は次のとおりです。

本府省業務調整手当の金額(行政職俸給表(一))
俸給表における職務の級標準的な官職(例)手当月額(円)
1級係員7,200
2級主任8,800
3級係長17,500
4級係長22,100
5級課長補佐37,400
6級課長補佐39,200
7級以上(室長等の管理職は支給対象外)41,800
人事院規則九―一二三(本府省業務調整手当別表より抜粋したものを加工

このとおり、4級係長から5級課長補佐へ昇任・昇格する際に跳ね上がることが見て取れます。

本府省業務調整手当の根拠規定

本府省業務調整手当の根拠規定は、「一般職の職員の給与に関する法律」の第10条第3項と、「人事院規則9-123」です。また、上掲の金額は、「人事院規則9-123」における「別表」に記載があります。同規則には、似たようなものとして「附則別表」も存在するため紛らわしく、これが誤解が生じている理由の1つとなっていると考えます。現行の手当の金額は同規則の「別表」に記載されいてる金額です。「附則」は主に法令の施行日や経過措置のほか、当分の間適用されるべき規定を置くために用いられるものです。「附則別表」は単に同規則制定当時の「附則」にぶら下がる形で、名残として残っているに過ぎず、これに法的効力はありません。

政府の公表資料によっては、人事院「国家公務員の諸手当概要」のように要点のみを抜粋しているものもあるため、このことも誤解が生じている一因となっていると推察できますが、本件のように公務員の人事制度を調べる際には、根拠規定にあたるべきです。(より厳格にいうと、以上のリンクはe-govに飛ぶようにしていますが、e-govでは最新の改正が反映されていない場合もあるため、施行日を見て最新のものとなっているか留意する必要があります。)

本府省業務調整手当の対象範囲(職務の級)

もう1つ大きく誤解されがちな点として、本府省業務調整手当の対象となる職員の範囲が挙げられます。本府省業務調整手当は、管理職員に対しては支給されません。本府省業務調整手当は平成21年度から導入された手当ですが、俸給の特別調整額(いわゆる管理職手当)が支給されない課長補佐級以下の職員の職務の特殊性等に鑑み、導入に至ったという経緯があります。

たとえば、人事院の国家公務員給与等実態調査においても、次のように明記されています。

本府省業務庁施手当:行政機関の内部部局の業務に従事する職員(管理職員を除く。)に支給される手当である。

人事院「国家公務員給与等実態調査 用語の解説」より抜粋

したがって、上掲の表では「7級以上 41,800(円)」としていますが、霞が関で実際に7級以上の職員といえば基本的に室長級、課長級職員で、これらは管理職に該当しますので、本府省業務調整手当ではなく俸給の特別調整額が支給されます。この41,800円の本府省業務調整手当が支給されるのは、極めて稀なケースです。

本府省業務調整手当の対象範囲(官署)

また、「対象範囲」というと、職務の級のみならず、「どの官署にまで本府省業務調整手当が支給がされるのか」といった意味合いも含んでしまいますが、基本的には霞が関に勤務するすべての職員に支給されるものと考えて差し支えありません。例えば直近だと子ども家庭庁が新設された際には、同庁に勤務する職員を支給対象とするため、併せて人事院規則9-123が改正されており、このように新設された官署においても改正を経て支給対象となりますので、心配はありません。

具体的には、以下の府省庁等に勤務する職員が支給対象となります。(押すと開きます。)

本府省業務調整手当の支給対象となる府省庁等(人事院規則9-123第2条より抜粋)

 会計検査院事務総局

 人事院事務総局の内部部局

 国家公務員倫理審査会事務局

 内閣官房

 内閣法制局の内部部局

 内閣府の内部部局及び本府に置かれる職

 宮内庁の内部部局(宮内庁病院及び陵墓監区事務所を除く。)

 公正取引委員会事務総局の内部部局

 警察庁の内部部局

 個人情報保護委員会事務局

十一 カジノ管理委員会事務局

十二 金融庁の内部部局

十三 消費者庁の内部部局

十四 こども家庭庁の内部部局

十五 デジタル庁に置かれる職

十六 総務省の内部部局及び本省に置かれる職

十七 公害等調整委員会事務局

十八 消防庁の内部部局

十九 法務省の内部部局

二十 最高検察庁

二十一 出入国在留管理庁の内部部局

二十二 公安審査委員会事務局

二十三 公安調査庁の内部部局

二十四 外務省の内部部局及び本省に置かれる職

二十五 財務省の内部部局

二十六 国税庁の内部部局(国税庁監察官、監督評価官その他の長官官房の職であって、人事院が定めるものを除く。)

二十七 文部科学省の内部部局及び本省に置かれる職

二十八 スポーツ庁の内部部局

二十九 文化庁の内部部局

三十 厚生労働省の内部部局及び本省に置かれる職

三十一 中央労働委員会事務局の内部部局

三十二 農林水産省の内部部局

三十三 林野庁の内部部局

三十四 水産庁の内部部局

三十五 経済産業省の内部部局

三十六 資源エネルギー庁の内部部局

三十七 特許庁の内部部局

三十八 中小企業庁の内部部局

三十九 国土交通省の内部部局及び本省に置かれる職

四十 観光庁の内部部局

四十一 気象庁の内部部局

四十二 運輸安全委員会事務局の内部部局

四十三 海上保安庁の内部部局

四十四 環境省の内部部局(国民公園管理事務所及び千鳥ケ淵戦没者墓苑管理事務所を除く。)及び本省に置かれる職

四十五 原子力規制庁

四十六 防衛省の内部部局

まとめ

  • 本府省業務調整手当は誤解されていることが多い。
  • 金額は、「1級:7,200円」、「2級:8,800円」、「3級:17,500円」、「4級:22,100円」、「5級:37,400円」、「6級;39,400円」
  • 7級以上の場合は、本府省手当業務調整手当ではなく俸給の特別調整額(管理職手当)が支給されることがほとんどである。

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