MENU

職場としての特別区Ⅰ類と国家一般職(出先・本省)について多角的に比較してみました

公務員試験は複数の試験種を受験するのが通例となっている節がありますが、その中でも特に重複して受験され易い組み合わせに、特別区Ⅰ類と国家一般職があります。この記事は、特にその両方の内定を得られた方などに向けて、職場としての両者を多数の観点から比較しようというものです。

かつを

地方公務員・国家公務員のいずれの経験もある私が、個人的な感触も含めつつ、検討させていただきました。

目次

結論

先に結論をお示しした上で、そののちに各論についてお話しできればと思います。今回、「業務内容」、「業務量」、「給与」、「転勤」、「福利厚生」、「出世」、「定年後(のキャリア)」の7つの観点から比較を行いました。その結果は以下の表のとおりとなります。

業務内容

業務内容について、特別区においては、ご存知のとおり住民や地域団体、地域企業等と対面する業務がメインとなります。国家一般職との比較といいながら他の自治体を引合いに出してしまいますが、特別区は政令市や中核市等よりも住民対応業務に割かれるリソースの割合が大きいです。

出先機関の国家一般職については、業務が機関によって異なるため一概には言えないですが、例えば労働局、法務局等では地域住民と対面する業務がメインとなります。一方で、経済産業局、運輸局等は管区内の中小企業等の対応がメインとなります。

本省勤務の場合、法制業務のほか、都道府県や地方出先機関との調整業務がメインとなります。政策立案は国家総合職が行うものだと誤解されがちですが、国家一般職でも往々にして携わることがあります。

また、今回、7つの項目で比較検討を行いましたが、そのうち、業務内容が最も重視すべきものだと思います。給与とか福利厚生なんかは就職先によって数字がちょっと異なってくるぐらいの話ですが、携わる業務というのは、下手すると今後の社会人生活すべての根幹に関わる話です。いざ入庁してみると「やりたい仕事ではなかった」と職場を離れていった同期を何人も見てきましたので、そういったミスマッチを防ぐためにも、調べ抜いて、考え抜くことが大事だと思います。

業務量

業務量について、特別区では、部署によって異なるというのが端的な答えです。平均すると、地方と国のいずれでも働いたことがある私の感触で恐縮ですが、出先機関の国家一般職と、本省の国家一般職の中間に位置するくらいではないかと推察します。ちなみに、一般的に業務量が多いのは財政課、人事課等で、業務量が少なめなのは住民戸籍課(窓口課)や出張所、介護保険課等だという印象があります。

出先機関の国家一般職については、官署によって多少の差はあれど、特別区やその他の自治体ほど大変なイメージはなく、ここでは「小」とさせていただきました。

本省の国家一般職については、すべての国家公務員の中でもかなり繁忙な部類だと思います。人事院の統計上の月あたりの超過勤務時間数は30時間程度らしいですが、実態としては50-60時間くらいが霞が関全体の平均なのではないかと、個人的に考えています。たしかにタクシー帰りが必要な日もありますが、それが連日続くようなことはないです。もしかすると、世間で報道されているほどの激務ではないのかなとも感じます。

給与

給与については、既に本省国家一般職と特別区Ⅰ類の比較をしておりますので、よろしければ拙稿をお読みください。私は、平均値で見れば、「本省国家一般」、「特別区Ⅰ類」、「出先機関国家一般職」の順に高いと考えています。

転勤

3つのうち最も転勤が少ないのは特別区です。異動により勤務地の変更があったとしても、異動先は基本的に区内の出張所や図書館等です。区によっては出向があるところもありますが、出向先は区近隣の民間企業や都庁が主なので、転居を伴うような異動はまずあり得ないと思って差し支えないです。よって「小」としました。

出先機関国家一般職については、官署によって大きく異なります。例えば「近畿圏内」、「東海圏内」等で幅広く転勤を前提としているところもあれば、労働局のようにそもそも都道府県単位で所轄しているために県外に出る必要が無いところもあります。また、経済産業局のように、所管する地域は広いけれども、転勤先の機関が少ないために転勤が滅多にないというところもあります。一番確実なのは、人事院が主催する合同説明会の類のイベントに参加して、興味がある官署の転勤有無、転勤範囲について確認しておくことです。ここでは、多くの官署の状況を総合的に鑑みて、「中」としました。

本省国家一般職については、基本的には霞が関勤務となります。国家総合職であれば地方への出向が多々ありますが、国会一般職でも稀に(期待の裏返しですが)地方等への出向を経験される方がいらっしゃるため、「中」としました。

福利厚生

休暇制度や共済制度については、そもそも地方公務員の制度自体が国家公務員の制度に準えて整備されていることから、大きな違いはありません。ただし、1つ思い浮かぶこととしては、夏季休暇について差異が見られます。特別区Ⅰ類や多くの地方自治体では、夏季休暇は5日間付与され、また、夏季の間に連続して取得することも、分散して取得することも可能です。一方の国家公務員の場合は、夏季休暇の付与数は3日間と地方自治体のそれより少ないです。また、3日間分を連続して取得することが前提とした建付けになっているため、利便性も低いです。

出世

特別区Ⅰ類職員は、意欲のある方なら当該区の課長、部長、参事といった役職に登り詰めることが一般的です。あまり現実的ではありませんが、部長級を経験すると、巡り合わせ次第では副区長になることもあり得ます。ちなみに副区長になるのは総務部(総務課や人事課を要する。)や企画部(企画課や政策課を要する。)といった特に重要なポストを経た方が多いようです。したがって、「組織内では大」としました。

一方の国家一般職の場合は、本省における管理職ポストは大部分を国家総合職が占めている状況です。また、出先機関においても、機関の長は出先機関出身者ではなく本省の国家総合職が務めることが常例となっていることが多いです。

ただ、組織内でどこまで出世したいかというのは本当に人によって捉え方が様々です。管理職になるということは、プレイヤーとしての権限を失うということでもあります。いわゆる現場魂のようなマインドを持って仕事に邁進される方の中には、あえて管理職を希望しないという方もいらっしゃいます。したがって、ご自身が何に重きを置くかということを整理されると良いと思います。

定年後

定年後、もとい退職後のポストについては、特別区I類で管理職を経験された方であれば、区内の財団法人、社団法人、社会福祉法人、医師会等の地域団体の理事等として再就職する場合があります。ただ、再就職規制の厳格化の趨勢からして、数十年後もこの体制が変わっていないという保証はありません。

国家公務員の場合は、国家総合職であれば未だ関係する独立行政法人や株式会社等への再就職は下火になりつつも一般的ですが、国家一般職の場合では現実的ではありません。60歳で定年退職を迎えた後は、65歳(更に定年が伸びなけれ)まで、定年前再任用短時間職員として、あるいはフルタイム職員として当該省庁内で勤務を継続することが一般的です。

まとめ

かつを

以上のとおり、多角的な視点から検討を行ってみましたので、これを基に熟考してみてください。後悔のない選択ができますよう、切に願っております。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次