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特別区Ⅰ類のうちケースワーカーを経験する確率が低い区、高い区【保護率】

特別区Ⅰ類の志望区を選定する時期や、内定が出始めた時期になると、例年「(生活保護の)ケースワーカーをしたくない」、「ケースワーカーは大変」という声を聞きます。これについては、そういった言説が独り歩きしているに過ぎないもので、経験した身からすればケースワーカーは大変やりがいのある仕事だと個人的には考えています。

しかし、それを踏まえた上でも、「ケースワーカーになる確率が低い区はどこか」と質問を受けることがあります。東京23区の生活保護行政の特徴として、生活保護受給者が多い区と少ない区が混在しているというものがあります。人口に対する生活保護受給者の割合(保護率)が低い区を選べば、ケースワーカーを経験する確率は低くなります。

個人的には、住民と対面で仕事をすることが特別区職員の醍醐味という部分もありますから、是非チャレンジしてみてほしいというのが本音ではありますが、一定のニーズもあるようですのでこの記事を書くことにしました。以下では、公益財団法人特別区協議会のウェブサイトから23区の保護率を抽出するなどして、ランキング化しましたので、ご覧ください。

目次

保護率ランキング

東京23区における保護率ランキング
順位区名保護率(%)
1中央区0.68
2港区0.76
3文京区0.88
4千代田区0.93
5目黒区0.95
6世田谷区1.08
7渋谷区1.22
7杉並区1.22
9品川区1.24
10江東区1.8
11大田区2.12
12豊島区2.2
13中野区2.22
14練馬区2.24
15北区2.54
16荒川区2.79
17墨田区2.83
18新宿区2.88
19江戸川区2.9
20葛飾区2.97
21板橋区3.1
22足立区3.5
23台東区3.86

いかがでしょうか。保護率は全国的に見ても1%から4%くらいの水準に収斂するものですが、特別区においては23区内で大きく乖離があるのがお分かりいただけるかと思います。地方在住の方からすれば意外かもしれませんが、東京には生活困窮者の暮らしに係るソフト、ハードが充実しているため、ホームレスや生活保護受給者が集まってくるという実態もあります。

それでは、以上の結果を詳しく見ていきます。まず、最も保護率が低いのは中央区で、それに港区、文京区、千代田区が続きます。これらの区は居住者の平均所得が高く、また、生活保護受給者が住むことのできる条件の賃貸物件(住宅扶助の一般基準上限額53,700円を少し上回る程度)や簡易宿泊所の数が少ないことから保護率が低い水準に留まっていると考えられます。また、港区や千代田区はオフィス中心の街で、福祉部門に割かれる人的リソースは相対的に小さいです。特に千代田区については、職員総数が約1,000名であるのに対してケースワーカーの数は10名未満ですので、一生ケースワーカーを経験しない確率はかなり高いです。

一方、最も保護率が高いのは台東区です。台東区の保護率が突出している理由は明確で、ドヤ街を擁しているという点に尽きます。大阪の西成地区、横浜の寿町地区と並んで、「日本三大ドヤ街」と称されることもある、山谷地区が台東区にはあります。この山谷地区には、GoogleMapで見ると分かるのですが、かつて日雇い労働者向けに提供されていた簡易宿所が集中しています。ちなみに、ドヤ街の「ドヤ」とは、「宿」を逆から読んだものだと言われています。この簡易宿所や、無料定額宿泊所等が、現在の生活保護受給者に対して提供されているというわけです。また、生活保護は住基上の住所に依存せず、居住地・現在地によって申請をすることができる制度です。したがって、物理的に山谷地区と近くにある荒川区、墨田区等の保護率も高くなっています。東京の東部にある区は総じて保護率が高いですね。これらの保護率が高い区においては、職員数は数千人程度であるにもかかわらず100人程度のケースワーカーを配属しているようなところもありますので、入庁した場合にケースワーカーを一度以上経験する確率は結構高いです。

ケースワーカーは、実際にやってみると学ぶことの多い仕事

データを読み解く以上のことが言えると思います。ただし、これは繰り返しになりますが、ケースワーカーは実際にやってみると学ぶことが多く、やりがいもあり仕事であるということを申し添えておきます。これについては別途記事にする予定です。

まとめ

  • 23区の中には、ケースワーカーを経験する確率が低い区と、その確率が高い区が混在している。
  • 最も保護率が低い区は中央区であり、港区、文京区、千代田区がそれに続いている。
  • 最も保護率が高い区は台東区であり、これは同区内にドヤ街が所在していることに由来する。

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