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特別区(23区)のうち職場として最も評価が高いのはどこか【ランキング化】

東京23区の職員として採用されるためには、特別区Ⅰ類等の採用試験を経ることとなります。同試験に最終合格した後、いずれかの区からいわゆる区面接の提示があり、区面接の後に、採用されることとなります。提示の段階においては、採用試験の申込時に選択した志望区から提示があることが多いです。

特別区Ⅰ類の試験申込みの時期になると、「どの区が(職場として)良いのか」といった質問を頂くことがあります。「自身がやりたい仕事をできる区を志望することが最も望ましい」というのが回答なのですが、予備的な情報として、統計的なデータを踏まえることも賢い選択です。公務員試験受験者を含む就活生にとって、事前に情報を収集することは、ミスマッチを防ぐといった観点から大変重要なことです。

本記事では、データによって、職場としての各区の評価をランキング化しましたので、よろしければご覧ください。

目次

使用するデータ

ランキングの作成にあたっては、オープンワーク株式会社の運営するサイト「openwork」から、23区の評価を抜粋し、一覧化しました。総合評価のほか、「風通しの良さ」、「職員の相互尊重」等の個別的な8項目を交えてランキングを作成しました。

ところで、この「openwork」はいわゆる就職口コミサイトですが、その評価はある程度現実を正しく反映したものであると考えています。たとえば国家公務員の勤務先として絶大な人気のある特許庁が、同サイトにおいて他官庁を圧倒するスコアとなっていることがその証左です。15年以上前から運営されているサイトであるため、サンプルサイズも十分に確保されています。投稿された評価は審査を経て計上されることからも信頼性は高いです。

かつを

ちなみに、本サイトにおける「openwork」のデータの使用についてオープンワーク株式会社に問い合わせたところ、許諾を頂いています。「openwork」は、労働市場における情報の非対称性を解消するための素晴らしいビジネスモデルです。

ランキング

今回作成した23区の職員による職場の評価は以下のとおりです。

以下では、この結果を考察していきます。

考察 ― 23区の職場としての評価はどのような要因により決定されるか

  • 窓口・福祉業務の多さは区役所の職場としての満足度に因果関係を持たない。

総合評価で1位となったのは意外にも北区でした。次いで台東区、港区が続きます。この結果の含意として、以上のことが得られる考えます。

総合評価で1位の北区は23区の中で高齢化率がトップであり、高齢者・介護関係の施設数が多く、それに伴って福祉関係部署に配属される職員の割合が大きいです。人的資源のみならず、財政的資源においても福祉部門(民生費)に多額の予算が投入されています。

また、総合評価の2位は台東区ですが、同区はドヤ(山谷地区)を擁することから保護率が23区、延いては全国において1位です。台東区に入庁した職員は高い確率で生活保護のケースワーカーを経験することになります。一般的に、ケースワーカーといえば地方公務員界隈において毛嫌いされる傾向があるですが、実際には「同じ仕事をしている職員が多く職員同士の風通しが良い」、「業務量自体は大きくないため残業時間は少ない」ことからケースワーカーの労働環境は巷で言われているように悪いものではありませんし、実際に経験した私からすれば魅力的な仕事です。

これらから、窓口・福祉業務の多さは区役所の職場としての評価に因果関係を持たないと結論づけられます。むしろ、高齢化率1位の北区が総合評価で1位となり、保護率1位の台東区が総合評価で2位となっていることから、窓口・福祉業務の多いほど職場としての評価が高いという仮説を立てることも可能だと考えます。

  • 「区のブランド」は職員の士気や職場としての評価に寄与する。

「区のブランド」という言葉は定性的、抽象的であまり好きではないですし、何より定量的に評価することができる性格のものでもありません。しかしながら、23区においてブランド力が高い区といえば、真っ先に想起されるのは港区や千代田区であり、それに異を唱える人は少ないのではないでしょうか。以上の結果を見ると、港区は第3位、千代田区は第8位とそれぞれ好位にランクインしています。特筆すべきは、「職員の士気」の項目においては、港区は1位を獲得しているという点です。統計上は、「区のブランド」は「職員の士気」を通じて、職場としての評価に対して正の因果関係を持つということが言えそうです。

  • 平均残業時間数は、職場の評価に対して負の因果関係を持つ。
  • 有休消化率は、職場としての評価に対して正の因果関係を持つ。

また、これは当然のことに思えますが、平均残業時間数は職場の評価に対して負の因果関係を持ち、有休消化率は職場としての評価に対して正の因果関係を持つと考えられます。現に、ランキング1位の北区の有休消化率は86%と突出して1位となっています。

ちなみに、「総合評価(職場としての評価)」を従属変数に、「平均残業時間」と「有休消化率」を独立変数に取って単純化したモデルで重回帰分析を行ったところ、「有休消化率」については回帰係数は正の値を示し、またP値は0.01未満で1%有意水準下でも採択されるという結果でした。ただし、openworkのアルゴリズムにより、そもそも有休消化率のスコアが総合評価の算出に組み込まれている可能性もあるため、これだけをもって統計的に有意な因果関係がある決定付けることは早計です。(統計学における「交絡」や「第一種の過誤」を招くおそれもあります。)

まとめ

  • 23区における職場としての評価をランキング化すると、1位は北区、2位は台東区、3位は港区。
  • 窓口・福祉業務の多さは区役所の職場としての満足度に因果関係を持たない。
  • 「区のブランド」は職員の士気や職場としての評価に寄与する。
  • 平均残業時間数は、職場の評価に対して負の因果関係を持つ。
  • 有休消化率は、職場としての評価に対して正の因果関係を持つ。

最後に繰り返しになりますが、実際に受験生の立場で志望先を選定する際には、必ず説明会等へ参加して、自身のやりたい仕事と合致する区がどこかを検討するべきです。統計によるデータはあくまで補足的な資料として捉え、最終的にはご自身の目や耳で得た情報を信じることをおすすめしています。長ければ40年以上を働く場所を決定するという大きな選択において、責任を持つことができるのはご自身に他ならないからです。

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