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公務員試験における「財政学」の勉強方法について【出題数・テキスト】

公務員試験における財政学は、優先度は法律系科目や経済系科目に劣りますが、多くの受験生が対策を行う科目の1つです。

専門科目のうち、「政治学」、「行政学」、「財政学」、「社会学」(本サイトではこれらを総称して「学系科目」という。)の対策方法はほぼ同じようなものです。この記事では、そのうち、財政学の勉強方法等について解説します。

目次

財政学の出題される試験種と、出題数

財政学は、行政系の公務員試験の場合、多くの試験種で出題されることとなります。出題される試験種と、その出題数を列挙すると以下のとおりとなります。

主な試験種における憲法の出題数
  • 国家総合職院卒行政政治国際系 …… 問題選択式で3問まで
  • 国家総合職大卒政治国際区分 …… 問題選択式で3問まで
  • 国家総合職大卒法律区分 …… 問題選択式で実質2問程度
  • 国家総合職大卒経済区分 …… 「財政学・経済政策」として必須5問
  • 国家一般職行政区分(全地域) …… 科目選択式で5問
  • 国税専門官A …… 科目選択式で6問
  • 財務専門官 …… 「経済学・財政学・経済事情」から必須14問
  • 特別区Ⅰ類 …… 問題選択式で最大5問
  • 地方上級 …… 3~4問程度、場合により選択式
  • 裁判所事務官 …… 出題なし(ただし経済学の問題を選択した場合、関連的に出題される場合もあり。)

政治学、行政学、社会学といった他の学系科目よりも、多くの試験種で出題されていることがお分かりいただけるかと思います。国家総合職(経済区分)や財務専門官の志望度が高い場合はかなり重要な科目となってきます。また、経済学とセットで出題される試験種があることも特徴の一つです。

財政学の難易度、コストパフォーマンス

  • 財政学の学習難易度 …… ★★★☆☆
  • 財政学のコストパフォーマンス …… ★★★☆☆(志望先により変動)

公務員試験における財政学の難易度は、専門科目の中で標準的な部類に属します。政治学、行政学、社会学等の他の学系科目よりは少しだけ難しいと心構えしておいた方が良いです。抽象的な概念や理論について記憶する他の学系科目とは異なり、財政学では、具体的かつ複雑な日本の財政制度について学ぶことが基幹的な内容です。また、基本的には暗記科目といって差し支えありませんが、一部にはミクロ・マクロ経済学のような、「理解するもの」という性格が強い分野も含みます。とはいえ、基本的には暗記科目ですので、ある程度の水準に達するまで、やればやるほど如実に成果が得られる科目です。

コストパフォーマンスについては、財政学の場合、出題数が試験種によって大きく異なるため、一概にいうことができません。とはいえ、国家公務員や地方公務員において多くの試験種で出題があるため、幅広く併願するタイプの受験の仕方であれば、可能な限り対策を行うべきです。

財政学は全て捨ててもいい?

上述のとおり、国家公務員や地方公務員をバランスよく併願するというタイプの受験者の場合、基本的には対策すべき科目です。財政学を勉強しない場合として考えられるのは、裁判所事務官の志望度がかなり高く、かつ経済学ではなく刑法で受験するといったきわめて限定的なケースです。

財政学を勉強する順番

専門試験の中で重要な科目の1つには変わりありませんが、やはりメインとなるのは「憲法、民法、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学」の5科目ですので、その後に対策するべきです。

また、財政学はミクロ・マクロ経済学とは関連する部分があります。むしろ、厚生経済学等のように完全に範囲が重複している部分があります。したがって、ミクロ・マクロ経済学で学んだことが財政学として出題されることや、その逆のことが起きることがあります。このことから、ミクロ・マクロ経済学よりも後に勉強すると、シナジー効果が期待できますので、スムーズに学習を進めることができます。

なお、「政治学、行政学、財政学、社会学」等の学系科目の中でどれから手を付けるかについてですが、これらの科目はいずれも同じような難易度ですので、どれから着手したとしても大差はありません。好みによります。

財政学の勉強方法(使用するテキスト)

財政学の勉強方法についてですが、難易度はそこまで高くないことから、導入書等は挟まずに、いきなり過去問集の問題に着手することが効率的です。過去問集の選択肢としては、王道シリーズの「スーパー過去問ゼミ」か、「過去問解きまくり」があります。いずれでも十分に合格水準に達することができます。法律系科目においては「解きまくり」、経済学系科目においては「スー過去」をおすすめしていますが、政治学を含むその他の学系科目においては甲乙をつけ難いです。しいて言えば、「スー過去」はレジュメページや図表が豊富であり体系的な学習を指針しているのに対して、「解きまくり」は問題数が豊富で、演習を主とした学習に重きを置いているという違いがありますので、好みに応じて選択するべきです。

また、政治学、行政学、社会学については扱っているのが抽象的な学説であるのに対して、財政学は日本における財政制度を取り扱っています。財政制度は流動的なものですし、財政学はその点において時事的な要素が強いです。したがって、こと財政学に限って言えば、過去問集はなるべく最新版を使用するべきです。

具体的な勉強方法としては、1冊の過去問集を、以下のようなスタンスで試験当日までに5週程度こなしてください。

  • 1~2週目:レジュメページを確認した後、演習形式で、問題を実際に解き進める。レジュメページや問題の解説文における要点に対して、マーカーを引いていく。
  • 3~5週目:マーカーを引いた部分を確認・暗記していく。

対策のポイントとして、財政学は基本的には暗記科目ということです。3~5週目以降においては、とにかく効率よく過去問集を回していくことが重要ですので、1~2週目においてチェックしておいた要点を暗記していくという作業に徹するべきです。

財政学の捨て分野

私は、とにかくコストパフォーマンスの高い学習を推奨しています。基本的に教養試験科目より専門試験科目の方が学習1単位あたりの限界的な得点向上率は高いですが、1つの科目についてある程度学習を進めてくると、飽和して限界得点向上率は逓減してきます。したがって、専門試験においては、出題頻度が少ないなどの理由でコストパフォーマンスの低い分野は捨てることとして、他の科目の勉強へ移行するとことをおすすめしています。

財政学は基本的には過去問集に掲載されている全ての範囲を対策することが望ましいですが、その中でコストパフォーマンスが比較的悪いものは以下の分野です。これらは志望先や確保できる勉強時間等に応じて捨てても差し支えないです。

  • 日本の税制の変遷 …… 過去問集に載っていることが多いですが、市役所で稀に出題されるくらいなので捨てても問題ありません。
  • 負の所得税 …… 特別区、国家系等で稀に出題されますが地方上級等ではほぼ出題されません。内容も個別的な論点なので余裕がなければ捨ててしまうのもアリです。(ベーシック・インカムとかに関わる話なので内容的には面白いのですが。)

まとめ

  • 財政学は多数の試験種において出題されており、国家・地方系を幅広く併願する場合にはなるべく対策するべき。
  • 過去問集として「スー過去」または「解きまくり」を5週程度回す。
  • 過去問集は、2週目までに問題を解きながら要点を整理して、3週目以降はとにかく要点を暗記していく。
  • 財政学に限って言えば、参考書は必ず最新のものを使用するべき。
  • 志望先や勉強時間等に応じて捨てても良い分野もある。
かつを

ちなみに、私は「解きまくり」よりも「スー過去」が合うと感じたため、前者を基に勉強しました。本試験までに5週ほどしましたが、3週目以降は問題を解くのではなく、ひたすら要点となる知識を暗記していくという作業に徹しました。

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