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国家公務員総合職の合格体験記の紹介【厚労省、国交省、その他本省・本庁】

前回、以上のような記事を作成しましたが、引き続き、今回は国家公務員総合職の合格体験記を掲載します。特に、独学で公務員試験対策を進めている方にとっては参考になるのではないでしょうか。

この内容は、私が受験生指導に携わらせていただいた方の合格体験談から、本サイトでの公開許可を頂けたものについて、四つ紹介します。なお、頂いた文章について、「です・ます」調を「だ・である」調に統一するなど、趣旨に影響の無い範囲で筆者が修文を行っています。

目次

一人目 国家総合職(厚生労働省)の合格体験談

イニシャル・受験時年齢・出身大学

  • イニシャル:Sさん
  • 受験時年齢:21歳
  • 出身大学 :関東圏私立大学法学部卒業見込み

受験結果

  • 国家総合職(法律区分):最終合格、厚生労働省に内定
  • 東京都(Ⅰ類B):筆記試験合格、最終面接辞退
  • 国家一般職:最終合格、官庁訪問実施せず

内定までの経緯

大学3年生から国家公務員総合職を志すようになった。勉強を始めたのは大学3年生の夏休み頃からなので、勉強期間は1年弱。最初は大手予備校の学内講座を利用していたが、途中からは独学に切り替えた。

官庁訪問は厚生労働省、国土交通省の二つを回って、厚生労働省は1クール目から最終クールまで「評価している」と常に前向きなコメントをもらえていた。一方の国土交通省は2クール目で切られてしまった。

筆記試験対策のポイント

法学部出身者は公務員試験においてメリットがあると感じた。法学の基礎が身についているため、公務員試験対策にスムーズに移行することができる。ただし、普段大学で勉強しているからといって公務員試験対策をおろそかにしてはならないと感じた。大学での勉強、公務員試験対策、司法試験対策、院試対策、これらはすべて別の種類のものである。たとえば大学の法学部の首席の人が公務員試験を受けても、公務員試験に特化した対策をしていなければ合格できないと思う。

予備校を活用してもよいが、結局は公務員試験対策はとにかく過去問を繰り返し解くことが大事。自分は予備校でインプットしている時間が無いと感じたことから、途中からはとにかく一人で過去問集を解きまくるスタンスに切り替えた。定番のスー過去のほか、実務教育出版の過去問500シリーズは持っておいた方がよい。

面接試験対策のポイント

人事院面接については、倍率は高くないため多くの人が問題なく通過できる。むしろ、人事院面接では差がつかないため、結局は筆記試験の点数の方が重要かもしれない。

問題なのは官庁訪問。官庁訪問はいわばマッチングのようなもので、自分は相性がよかったのか、鋭い質問を受けることもあったがスムーズに内定まで進むことができた。対策するなら、まずは想定問答集の作成は必須。くわえて、定期的に人事院や各省庁がやっているイベントや説明会には必ず参加して、採用担当の方に顔を覚えてもらうべき。

官庁訪問の面接は面接官によって完全に様々。対応力を試されている感じがある。最も印象的な面接では、開幕から「まずはこれから20分間、私に質問し続けてください。」と面接官に言われた。逆質問を用意しておくことも重要。

二人目 国家総合職(国土交通省)の合格体験談

イニシャル・受験時年齢・出身大学

  • イニシャル:Tさん
  • 受験時年齢:22歳
  • 出身大学 :地方国立大学文学部卒業見込み(新卒)

受験結果

  • 国家総合職(政治・国際・人文):最終合格、国土交通省に内定
  • 国家一般職:最終合格、官庁訪問実施せず
  • 政令市:筆記試験合格、二次面接辞退
  • 国税専門官:筆記試験合格、面接辞退

内定までの経緯

大学3年生の夏から学内の公務員試験講座の受講を開始した。民間就活と併行するつもりでいたが、勉強を進めていくにつれて公務員に愛着が湧くようになり、最終的には公務員試験一本に絞った。

国家総合職に強い拘りがあったわけではなく、幅広く公務員試験を受験していたが、国家総合職の官庁訪問期間中に縁があったため内定を受諾してそれ以外の試験種はすべて辞退した。

筆記試験対策のポイント

昔から勉強が得意な方ではなかったし、私は大学もそれほど有名ではないところである。それでも、予備校の学内講座を活用して一年間勉強すれば、国家総合職にも手が届くということが分かった。時間をかければ結果がついてくるところが公務員試験の良さだと感じた。

国家総合職を法律区分で受けるか政治・国際・人文区分で受けるかは迷ったが、倍率の高さから法律区分を敬遠した。区分ごとの倍率等は人事院の公式サイトに掲載されているので、チェックした方がよい。私は結果的にギリギリで合格したため、この選択が良かったのかもしれない。

面接試験対策のポイント

とにかく官庁訪問が大事。第1クールでは総務省、文科省、国交省の順に訪問したが、総務省と文科省は第2クールまでに不採用となってしまった。国交省は当初は志望度は高くなかったものの、官庁訪問でお会いする面接官の熱意の高さから、選考が進むにつれて私もここで働きたいと思うようになった。

最近は、官庁訪問の形式についてオンラインか対面かを選択できるところも多いみたいだが、私はすべて対面で行うこととした。結果的に、地方から二週間近く東京に滞在することになった。痛い出費だったが、正解だったと思う。地方の受験者の方は官庁訪問にお金がかかることに注意したほうがよい。結果論だが、オンラインよりも対面の方が面接の空気感等も感じ取れるため、良いのではないかと思う。

後悔しているのは、訪問する官庁のことをもっとよく調べておくべきだったということ。官庁訪問で面接官と話してみると準備不足を痛感した。各官庁の個別説明会には、オンラインでもよいので何度も顔を出しておくべき。

三人目 某省本省の合格体験談

イニシャル・受験時年齢・出身大学

  • イニシャル:Eさん
  • 受験時年齢:23歳
  • 出身大学 :東京大学大学院修了見込み

受験結果

  • 国家総合職(院卒区分):最終合格、某省本省に内定
  • 東京都(Ⅰ類B):筆記試験合格、面接辞退

内定までの経緯

大学4年生のときに公務員試験を受験したが、国家総合職を含めてすべて不合格。その後、院試を受けて大学院に進学。

修士1年の4月から公務員試験のリベンジに向けて本格的な勉強を再開。修士2年の夏に内定を頂けた。珍しい例だと思うが、私の場合は行きたい省庁が最初からはっきりしていたため、それ以外のところは一切官庁訪問しなかったし、説明会等にも足を運ぶことはなかった。大学院に入ってからは、ひたすら筆記試験の勉強をしながら、志望する省の説明会があるときはそれに参加するような生活だった人事院が主催するものも含めると、内定を頂くまでの間に、合計で10回以上は説明会に参加した。

筆記試験対策のポイント

私の場合は院卒区分で受験したが、院卒区分は大卒区分ほどの難易度は無い。1年間ほど勉強すれば最終合格にはたどり着くことができるのではないか。私はかなり余裕のある席次で合格できたが、筆記試験対策の時間を自己分析等に回せばよかったと感じる。

面接試験対策のポイント

いわゆる人事院面接は、面接の時間も短く、一回きりなので、大して差がつかない。実質的には筆記試験の成績で最終合格できるかが決まるような仕組みだと考えている。

一方の官庁訪問は倍率が高く、ここが勝負どころである。とにかく熱意を伝えることが必要。できることは全部やるべき。たとえば、可能な限り志望する省庁の説明会には参加して、どの職員がどのような話をしていたかなどをメモしておくは重要。それが官庁訪問での話の引き出しになる。

私は、行きたい省が一つしか無かったため、第1クールの時点から当該省のみを訪問した。珍しいパターンだが、私の場合は、「当省しか受けていないなんて、よっぽど熱意があるのですね。」とポジティブに捉えていただけたようである。自分の心に従ってよかったと感じたし、第一志望から内定を頂けたときの喜びは大きかった。一方で、ある面接官の方からは「一つしか受けなくてよいのですか?あなたは他の試験種も受験していないみたいだが、当省から内定が得られなかった場合のリスク管理についてどう考えていますか?」と質問を受けることもあったので、理屈で感情を説明できるようにしておくことは重要。

ただし、どこからも内定が得られないというリスクがあるため、あまり推奨はできない。全体を見ると、官庁訪問では第一志望から内定を得られない人の方が多いかもしれない。

四人目 某庁本庁の合格体験談

イニシャル・受験時年齢・出身大学

  • イニシャル:Sさん
  • 受験時年齢:25歳
  • 出身大学 :早稲田大学法学部卒業(既卒、社会人経験あり)

受験結果

  • 国家総合職(法律区分):最終合格、某庁に内定

内定までの経緯

大学卒業後、法律系の仕事に従事(法曹ではない。)。

試験の1年頃前に国家公務員として活躍してみたいと一念発起して勉強を開始した。仕事をしながらの試験対策だったので、スケジュール管理がかなり厳しかった。土日を中心に対策を進めることになった。大学時代に行政法を専攻していたので、その基礎学力が無ければ合格するのは難しかったかもしれない。

筆記試験対策のポイント

仕事をしていたので、予備校に通学する時間はなかった。予備校の中には社会人向けの講座もあるみたいだが、私は平日は夜遅くまで仕事ということもあったので無理だと思い、独学で勉強することにした。

1年でダメなら2年目、それでダメなら3年目、と思っていたが、運もあってか1年目で合格することができた。そのポイントは、出題の比重が大きいところを意識して、コスパ良く対策を進めたことだと思う。勉強の中心になったのは憲法、民法、行政法、刑法だが、いずれも、過去問集に載っている過去の出題数を見ると、明らかに国家総合職では出題されていない分野等もあるため、そういうところは積極的に捨てていっていいと感じた。

また、教養試験の対策には手が回らなかった。数的処理は一切手付かずだったし、必須と言われる時事対策も、試験前日に速攻の時事の背表紙に書いてある頻出10テーマに目を通しただけだった。

最終的にギリギリで合格することができた。

面接試験対策のポイント

官庁訪問は平日に行われるため、社会人の私にはそれが大きな障壁になった。とはいえ、大企業ではなく小さな法律事務所に勤めていたため、比較的周りの理解は得やすかったように思う。志望度の高い二つの省庁だけ受験させていただくこととなり、その片方の某庁から内定を頂けた。

所感の一つとしては、最終合格時の席次は関係ないということがある。私はほぼ最下位に近い席次だったが、官庁訪問中にそのことは一切触れられなかったし、問題なく内定を頂くことができた。

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