公務員試験における行政学は、優先度は法律系科目や経済系科目に劣りますが、多くの受験生が対策を行う科目の1つです。政治学と行政学は初学者からすれば同じようなものに思えるかもしれませんが、政治学が選挙制度や議会制度といった立法府に係る論点を範疇としているのに対して、行政学はまさに官僚制、政策過程論等の行政府に着眼した領域となっています。
とはいえ、公務員試験においては、専門科目のうち、「政治学」、「行政学」、「財政学」、「社会学」(本サイトではこれらを総称して「学系科目」という。)の対策方法はほぼ同じようなものです。この記事では、行政学の勉強方法等について解説します。
行政学の出題される試験種と、出題数
行政学は、行政系の公務員試験の場合、複数の試験種で出題されています。出題される試験種と、その出題数を列挙すると以下のとおりとなります。
- 国家総合職院卒行政区分政治国際系 …… 問題選択式で5問
- 国家一般職行政区分(全地域) …… 科目選択式で5問
- 特別区Ⅰ類 …… 問題選択式で最大5問
- 地方上級 …… 2問程度、場合により選択式
- 国家総合職経済区分 …… 出題なし
- 国家総合職法律区分 …… 出題なし
- 国税専門官 …… 出題なし
- 財務専門官 …… 出題なし
- 裁判所事務官 …… 出題なし
特徴として、国家総合職では法律区分や経済区分においては出題されないということです。同じような立ち位置の科目の政治学と比較すると、政治学は国税・財務専門官で出題されるのに対して、行政学は出題されないという違いがあります。
行政学の難易度、コストパフォーマンス
- 行政学の学習難易度 …… ★★☆☆☆
- 行政学のコストパフォーマンス …… ★★★☆☆(志望先により変動)
公務員試験における行政学は、専門科目の中で易しい部類に属します。専門科目のうちで、経済系科目や民法等は「理解するもの」という性格が強いのに対して、政治学、行政学、財政学、社会学等は暗記科目としての性格が強いです。ある程度の水準に達するまで、やればやるほど如実に成果が得られる科目です。
コストパフォーマンスについては、行政学の場合、出題数が試験種によって大きく異なるため、一概にいうことができません。とはいえ、国家公務員や地方公務員において多くの試験種で出題があるため、幅広く併願するタイプの受験の仕方であれば、可能な限り対策を行うべきです。
行政学は全て捨ててもいい?
上述のとおり、国家公務員や地方公務員をバランスよく併願するというタイプの受験者の場合、基本的には対策すべき科目です。ただし、国家総合職(法律・経済区分)、裁判所事務官、国家専門職等のように一切出題されない科目も多いため、志望先や志望度に応じて、行政学自体を捨てるという選択も大いにアリです。
行政学を勉強する順番
行政学は専門試験の中で重要な科目の1つには変わりありませんが、公務員試験においてメインとなるのは「憲法、民法、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学」の5科目ですので、その後に対策するべきです。
なお、「政治学、行政学、財政学、社会学」等の学系科目の中でどれから手を付けるかについてですが、これらの科目はいずれも同じような難易度ですので、どれから着手したとしても大差はありません。好みによります。ただし、社会学よりは行政学の出題される試験種が多いため、汎用性は高いと考えます。強いて序列を付けるとするならば、財政学、政治学、行政学、社会学、その他学系の順に重要です。
行政学の勉強方法(使用するテキスト)
行政学の勉強方法についてですが、難易度は平易であることから、いきなり過去問集の問題に着手することが効率的です。過去問集の選択肢としては、王道シリーズの「スーパー過去問ゼミ」か、「過去問解きまくり」があります。いずれでも十分に合格水準に達することができます。法律系科目においては「解きまくり」、経済学系科目においては「スー過去」をおすすめしていますが、行政学を含むその他の学系科目においては甲乙をつけ難いです。しいて言えば、「スー過去」はレジュメページや図表が豊富であり体系的な学習を指針しているのに対して、「解きまくり」は問題数が豊富で、演習を主とした学習に重きを置いているという違いがありますので、好みに応じて選択するべきです。
具体的な勉強方法としては、1冊の過去問集を、以下のようなスタンスで試験当日までに5週程度こなしてください。
- 1~2週目:レジュメページを確認した後、演習形式で、問題を実際に解き進める。レジュメページや問題の解説文における要点に対して、マーカーを引いていく。
- 3~5週目:マーカーを引いた部分を確認・暗記していく。
対策のポイントとして、行政学はあくまで暗記科目ということです。3~5週目以降においては、とにかく効率よく過去問集を回していくことが重要ですので、1~2週目においてチェックしておいた要点を暗記していくという作業に徹するべきです。
まとめ
- 行政学は複数の試験種において出題されており、併願先が多い場合には基本的に対策するべき。
- 過去問集として「スー過去」または「解きまくり」を5週程度回す。
- 過去問集は、2週目までに問題を解きながら要点を整理して、3週目以降はとにかく要点を暗記していく。
ちなみに、私は「解きまくり」よりも「スー過去」が合うと感じたため、前者を基に勉強しました。本試験までに6週ほどしましたが、3週目以降は問題を解くのではなく、ひたすら要点となる知識を暗記していくという作業に徹しました。