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公務員試験の数的推理の濃度算(食塩水等)の公式や例題、解法【頻出分野】

公務員試験では、一部の特殊な方式を除いて、教養試験(基礎能力試験)の科目の一つとして数的処理が出題されます。この数的処理には、次の3つの分野があります。

数的処理
  • 判断推理:「対応関係」「論理」「暗号」等の、判断力や推察力を問う問題
  • 数的推理:「確率」「方程式」「整数」等の、計算力を問う問題
  • 資料解釈:資料を基に、統計的な読解力や計算力を問う問題

特に出題数が多いのは判断推理と数的推理であるため、いずれも予備校での学習や、参考書(「スー過去」や「解きまくり」)を用いた独学で対策をしておくことが必要です。

目次

数的推理は伸びにくい

そもそも、数的推理や判断推理は、公務員試験の中でも伸びにくい科目です。時間をかけたからといって、確実なリターンを得られるわけではありません。

このサイトでは繰り返しお伝えしているように、数的処理でそこそこの点数を取った上で、法学系科目や経済系科目、そのほかの学系科目で差をつけることが合格への近道といえます。したがって、「そこそこの点数」を楽して取るという戦術、すなわち取捨選択が重要になるというわけです。

幸い、数的推理は出題されやすい分野とそうでない分野、コツをつかめば得点しやすい分野とそうでない分野があります。このサイトでは、特に頻出な分野として、「速さ」を取り上げて以下の記事を作成しております。

この記事で扱うのは、このうち数的推理の中でそこそこの頻度で出題される「濃度」の問題です。「速さ」ほど出題率が高いわけではありませんが、ポイントを押さえておけば得点することができることも多く、コストパフォーマンスが高いため、対策しておくことをおすすめしております。特に地方上級や国家一般職では出題される可能性が高めです。

なお、他に頻出な分野として「確率」と「場合の数」と「最小公倍数」等がありますが、一般的な数学の勉強で足りるものであり、本サイトとしても特に有益な解法を示せるわけではないため、この記事では取り上げておりません。

「濃度算」の数的推理の問題のポイント

「濃度」の問題は、国家一般職、地方上級、東京都、特別区、市役所等、多くの公務員試験において出題される可能性が高めとなっています。出題率はそこそこですが平易な問題が多いため、以下のポイントを押さえておきたいです。

ポイント1:濃度算の基本公式

まず、濃度算の基本公式を掲示しておきます。

  • 濃度(%)=(食塩の重さ/食塩水の重さ)×100
  • 食塩の重さ=食塩水の重さ×(濃度(%)/100)
  • 食塩水の重さ=(食塩の重さ/濃度(%))×100

一応、式を3つ掲げましたが、「濃度」「食塩の重さ」「食塩水の重さ」の3つを使った式を変形しただけなので、本質的には最初の1つだけ覚えておけば大丈夫です。必要であれば残りの二つはその場で式を作ることができるからです。

実際の公務員試験の問題では、これらの基本公式を使って方程式により問題を解くことが多いです。

ポイント2:水に混ぜても、食塩の総量は変わらない

濃度算でよくある問題は、食塩を水に溶かして、その濃度について問うようなものです。このような問題において、一つ重要なポイントがあります。それは、

  • 水に溶かしても、食塩(等)の総量は変わらない

ということです。

もちろん、実戦では、混ぜるものが食塩ではなく、砂糖だったり、ショ糖だったりすることもありますが、以上のポイントを押さえておけば解ける問題が非常に多いです。早速、次から例題を紹介していきます。

例題

この記事では、例題を二つ紹介します。最初の一つは、基礎的なオリジナル問題です。続けて、実際に公務員試験で出題された問題を一つ紹介します。

例題1:オリジナル基礎問題

まずは、基礎的なオリジナル問題です。地方上級、中級等ではこれと同じくらいの難易度の問題も見かけます。

濃度の例題1

濃度が3%の食塩水に、濃度が6%の食塩水を混ぜて食塩水を作った。食塩水の濃度は4%、重さは300gだった。このとき、食塩水の重さはいくらか。

  • 100g
  • 150g
  • 180g
  • 200g
  • 240g

濃度算の問題では、とにかく、基本公式を用いて方程式を作ることを目指します。

設問で問われている食塩水の重さをAと置くと、基本公式のうち「食塩の重さ=食塩水の重さ×(濃度(%)/100)」より、食塩水に入っている食塩の重さは、「A×(3/100)」、すなわち0.03Aと表せます。

同様に、食塩水の食塩の重さについて考えます。食塩水の食塩水の重さは、食塩水の食塩水の重さである300gから、食塩水の重さAを除いたものであるため、「300-A」と表せます。これを踏まえて、同様に食塩水に入っている食塩の重さを求めると、「(300-A)×(6/100)」、すなわち「0.06(300-A)」、更に整理すると「18-0.06A」となります。

最後に、食塩水の食塩の重さについて考えます。食塩水の重さは300g、濃度は4%とあるので、同様に計算すると、食塩水の食塩の重さは「12g」と分かります。

ここまでを整理すると、それぞれの食塩水の食塩の重さは以下のとおりとなります。

  • 食塩水の食塩の重さ:0.03A ……
  • 食塩水の食塩の重さ:18-0.06A ……
  • 食塩水の食塩の重さ:12g ……

ここで、上述のポイントが重要となってきます。水に溶かす前後で、食塩の総量は変わらないということです。このことより、食塩水は食塩水と食塩水を合わせたものであることから、「①+②=③」が成り立つということになるのです。

とおくと、次のとおり計算できます。
0.03A18-0.06A12
-0.03A=-6
0.03A=6
A=200

よって、食塩水の重さは200gだと分かります。

例題2:実際の問題

もう一つ、次の例題とその解法をご覧ください。実際に裁判所の採用試験で出題された問題です。ただし、解法は無数にありますが、筆者のオリジナルのものです。

濃度の例題2

の2種類の食塩水がある。3、1の割合で混ぜ合わせると濃度5%、1、3の割合で混ぜ合わせると濃度7%の食塩水が得られる。このとき、の食塩水の濃度に最も近いものは次のうちどれか。

  • 2.6%
  • 3.6%
  • 4.6%
  • 5.6%
  • 6.6%

まず、設問で問われているの食塩水の濃度をX(%)と置きます。さらに、もう一つのの食塩水の濃度も不明であるため、Y(%)と置きます。

濃度算では、とにかく基本公式を使って食塩水の重さや食塩の重さ、濃度を表した上、そこから方程式を解くということを目指すという方針は先ほどと変わりません。

まずは、3、1の割合で混ぜ合わせてできた濃度5%の食塩水に関して、食塩の重さが混ぜる前後で等しいことを利用して式を作ります。基本公式を使って例題1と同様に整理すると、次のとおり表すことができます。

3の食塩の重さ+1の食塩の重さ)=(3、1の割合で混ぜ合わせた食塩水の重さ)
3×(X/100)+ 1×(Y/100)=4×(5/100)
3X+Y=20 ……

同様に、1、3の割合で混ぜ合わせてできた濃度7%の食塩水の食塩の重さについて式を作ります。次のとおりとなります。

1の食塩の重さ+3の食塩の重さ)=(1、3の割合で混ぜ合わせた食塩水の重さ)
1×(X/100)+ 3×(Y/100)=4×(7/100)
X+3Y=28 ……

これで、XとYの2文字を使った式が二つ得られましたので、あとは、①と②を連立させるか、代入するなどしてXの値を導くことができます。整理すると、以下のとおりとなります。

を変形して、
X=-3Y+28 ……
に代入すると、
3(-3Y+28)+Y=20
-9Y+84+Y=20
-8Y=-64
Y=8 ……
に代入すると、X=4 が得られる。

以上から、の食塩水の濃度は4%だと分かります。したがって、4%に最も近い選択肢である「3.6%」が正解肢ということになります。

学習にあたっては予備校の活用するか、参考書で独学するか

いかがでしたでしょうか。濃度の例題として二つを紹介しましたが、実際には、これら以外の出題パターンのものも多く見受けられます。

本サイトでは数的処理に大きく時間をかけすぎる必要はないという立場をとっておりますが、多少の対策は必要です。数的処理の対策にあたっては、予備校を活用することがおすすめです。あるいは、独学の場合は、参考書(「スー過去」や「解きまくり」)を使って頻出分野だけでも主な解法を押さえておくことが重要です。

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