特別区Ⅰ類の試験では、特別区人事委員会により行われる面接試験によって最終合格者が決まったのち、各区が実施する区面接によって内定者が決まります。
この記事では、特に特別区のこれらの面接においてよく聞かれる質問と、その無難な回答例をまとめましたので、受験者の方の参考になれば幸いです。
なお、公務員試験の面接では、試験種を問わずよく聞かれる質問があります。たとえば、「なぜ民間企業ではなく公務員を目指しているのか?」「自己PRに書いてある経験について最も大変だったことは何か?」などの質問はその最たる例です。この記事では、このような一般的によく聞かれる質問ではなく、あくまで特別区Ⅰ類の面接試験においてよく聞かれる質問を紹介していきます。
特別区人事委員会の面接においてよく聞かれる質問
まずは特別区人事委員会による面接においてよく聞かれる質問です。
なぜ地元ではなく東京都特別区を志望するのか
これは地方出身の受験者に対してよくされる質問です。特別区Ⅰ類の試験は地方上級や市役所とも日程が異なるので、基本的には併願することができます。面接官としては、なぜ地元ではなく特別区を志望しているのかが気になるところです。特に、出身が地方で、大学も地方といった場合には少し回答に苦慮しますが、「首都東京の自治体であれば全国の自治体のロールモデルとなるような取組も多いので魅力に感じた」などが無難な回答になると思います。より踏み込んで、23区のうちで志望している区について具体的な先進事例を調べておき、それを引合いに出せればベストです。
なぜ東京都ではなく特別区を志望するのか
昔はよく聞かれていましたが、最近はあまり聞かれなりつつある印象があります。東京都ではなく特別区を志望する理由は「住民に近い距離で仕事がしたいから」「住民と直接関わる仕事がしたいから」「地域づくりに携わりたいから」「福祉の仕事がしたいから」といくつでもありますが、これらのように回答すれば問題ありません。
23区の中でその三つの区を志望した理由は何か
特別区Ⅰ類の試験では、申込みの時点で志望先として三つの区を選択することになります。当然、人事委員会の面接官は、受験者がどの区を志望しているかを把握していますので、このように聞かれることも多いです。
これについては、なぜその三つの区を選択したかを合理的に説明できる理由を準備しておくとベストです。特別区の志望動機については、以下の記事に詳しいので、よろしければご覧ください。
志望する三つの区には関連性が無いように見えるが、どのような軸で選んだのか
23区にはそれぞれカラーがありますが、志望先の三つの区をバラバラに選択している場合はこのように聞かれることがあります。たとえば、「渋谷区、杉並区、葛飾区」の組み合わせなどがこれに該当し得ます。この対策としては、「特別区の合同説明会でこれらの区を見て回った際に魅力に感じたから」などと回答すれば納得を得られるはずです。
区面接においてよく聞かれる質問
続いて、区面接においてよく聞かれる質問です。区面接は基本的に内定が決まるまで何度も行われますので、内定漏れが起きることは稀です。それでも多くの方が最初の面接で内定が決まりますし、志望度の高い区に行くためにも対策しておくことは重要です。
「実際に当区を歩いたりしましたか」
筆者は地方出身で、関東以外の場所にある大学に所属していましたが、区面接において実際にこの質問を受けました。試験前日に前乗りして、主要な場所を見学していましたので、面接官の求めていることを回答できたようです。ただ単に「◯◯地区を見て回りました」と答えるのではなく、「◯◯地区の景観はレトロで魅力的ですが、木造家屋が多く、接道も狭いため、防災の観点からは少し気になりました。」などとその感想や問題提起も含められるとベストです。
さらにいうと、見て回る場所も重要です。たとえば台東区の場合、どこを見て回るか考えた際に最初に思いつくのは観光地として世界的に有名な浅草や上野ではないでしょうか。それでも良いですが、基礎自治体である以上、自治体としての台東区はそこに定住している人の住民福祉を考える立場にあります。台東区は、23区の中で最も保護率(生活保護を受給している人の割合)が高く、山谷と呼ばれる生活保護受給者が特に多い地区があります。私が地方出身の受験生であれば、台東区を理解するために、山谷を見て回ると思います。こういったニッチな場所にまで目を通している受験生は、面接官から一目置かれます。
「当区の課題は何だと思いますか」
前問と同様ですが、こちらは、もともと23区内や志望区に住んでいたことのある受験者に対して投げかけられることの多い質問です。前問と同じように回答できれば差し支えありません。ネットで各区のウェブサイトや広報誌(区報)を見れば各区がどのような取組をしているかはすぐ分かりますので、事前に調べておくことは重要です。
併願先との志望順位について
区面接の特徴は、これが内定を出す最後の機会だということです。面接官は主に人事課の職員であることが多いですが、人事課は、内定を出した場合に、本当に区に来てくれるかを大いに懸念しています。内定を出した後に辞退者が何名も出た場合は、補充のため追加で区面接をせざるを得なくなるからです。
内定を得るためにベストなのは「◯◯区が第一志望です」と言い切ることです。どこが第一志望かは各人の心裡の話なので嘘をついてもバレることはないですが、辞退するなら多大な迷惑をかけることになるので、せめて早めに人事課に伝えるべきです。迷っているなら、本来は正直に「内定を頂けた場合に△△と◯◯のどちらに進むか迷っている」と伝えるべきですが、ここは就職活動のジレンマみたいなところですね。
地元に帰らなくて大丈夫か
地方出身の方に対してたまに問われることのある質問です。私が受験した際にもこの質問がありました。面接官からすれば、地方出身者が就職のために東京に出てくるというのは大きな決断のように映るようです。「兄弟が地元で働いているので家族の問題はない」というように答えれば理解を得られるでしょうが、「心機一転して、首都東京の基礎自治体で働くことに魅力を感じた」くらいの回答での十分です。
そもそも、最近は面接のコンプライアンスも高まっているので、このような踏み込んだ質問は減りつつあるようです。
「当区でやってみたい仕事は何ですか」
これもよく聞かれる質問です。特別区に限らず自治体の面接でよく聞かれますが、特別区の場合は業務内容が特殊であるため、注意が必要です。
特別区は、「特別」という語に惑わされがちですが、業務範囲としては一般市と同じか少し小さいくらいです。政令市と比べると限定的になるのでお気をつけください。交通、上下水道、港湾等の業務は大都市事務として東京都が担っていますし、農地も無く農業関係の業務も発生しないところが多いです。
特別区で所掌している事務について正しく把握しておくことが重要です。当該区の組織図等を見て、どのような課があるかを確認しておくとよいです。
さらに、その区が特に注力している事業や、全国的に先進事例となっているような事業があれば、それについて述べることができればベストです。とにかく調べておくことが重要です。
まとめ
以上です。少しでも参考になれば幸いです。また、公務員の面接試験に関しては、以下の記事でも触れていますので、よろしければお目通しください。