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「省庁」以外の役所は国家公務員総合職・一般職の職場としておすすめ【人事院、会計検査院、公正取引員会等】

国家公務員総合職・一般職の試験を経て採用されることのできる中央官庁としては、財務省、経済産業省、特許庁等の「省庁」や、内閣府をまずイメージされる方が多いと思います。

これらの省庁等に比べれば少しマイナーですが、国家公務員総合職・一般職の職場として大いににおすすめできる官庁がほかにもありますので、紹介する記事です。

目次

人事院

まずは、人事院です。

人事院の概要

各省庁とは異なり、所掌するのは国家公務員の人事・給与・労務制度です。

人事院は内閣に属する行政委員会の一つです。国民ではなく国家公務員に直接の焦点を当てる役所は、国内で唯一です。

様々な業務がありますが、特に注目されるのは、年に一度の「人事院勧告」に係る業務です。その他、国家公務員の人事制度を司る「人事院規則」の改正事務等を担います。

職場としての人事院のメリット

人事院は、「本府省業務調整手当」の支給対象であり、「中央官庁」や「本府省等」といった場合に含まれることが多いです。

中央官庁のうち、「〇〇省」や内閣府、その外局であれば、法制執務や、国会対応業務に従事する可能性が高いです。

ところで、中央官庁に勤める国家公務員は激務で知られていますが、その最たる要因は、国会議員の質問通告が遅いことなど、国会との繋がりにあります。(このことは以下の記事でも触れています。)

一方で、人事院の事務はある程度国会から切り離されているという特徴があります。

人事院の法制執務といえば人事院規則ですが、人事院規則の改正は、そのほかの法令とは異なり、国会や関係府省との連携は最小限として、人事院の裁量のもとで改正作業を進められるような仕組みとなっています。

(たとえば、人事院には国会において個別の委員会が置かれていない人事院規則の改正に当たっては官庁間の「法令協議」が行われないなどの特徴があります。)

これによって、中央官庁の中では比較的ワークライフバランスが保たれていることで知られています。

たとえば、上掲の記事の中で引用した各省庁等の残業時間を見ると、1か月あたりおおむね30~70時間でレンジを形成しているように見えます。対して、この調査の母体であるopenworkで人事院の残業時間を見ると、この記事の執筆時点で「18.9時間」となっています。

このように、人事院を職場として見たときに、ワークライフバランスが優れていることは定量的に明らかです。

転勤は発生し得る

人事院職員として採用された場合、基本的には霞が関の本庁舎に勤務することになります。

しかし、気を付けたいのは、人事院は全国に8つの地方事務所を持っていることです。このことによって、頻度は高くないものの、人事院職員としてキャリアを築く中で、これらの地方事務所に一度以上転勤となる可能性は高いです。

採用者数

採用者数は、国家総合職で例年5名程度、国家一般職で例年20名程度と、そこそこの数が採用されています。

会計検査院

続いて、会計検査院について紹介します。

会計検査院の概要

会計検査院の組織としての最大の特徴は、独立した政府機関でありながら、内閣に属していないということです。また、憲法に直接の根拠を持っているということです。

ここで、憲法第90条を引用します。

日本国憲法(昭和21年憲法)

第90条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
② 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

日本国憲法 | e-Gov 法令検索

省庁の名称は憲法には直接書いてありません。このように憲法に直接の根拠を持つ機関は、国会、内閣、裁判所のほか、会計検査院くらいです。

国の決算を検査するという職務の特性から、内閣(延いては国会)から独立した立場として扱われており、国の機関図を見ると、会計検査院だけ離れ小島に置かれていることが分かります。

憲法上は、「決算」を検査する機関を銘打たれていますが、実際には、幅広く国の個別の会計経理について検査することも業務の一つです。その検査権限はすべての府省庁や、国会、最高裁判所等にも及びます。

職場としての会計検査院のメリット

職場としての会計検査院のメリットは、上述した独立性に起因して、中央官庁の中では比較的ワークライフバランスが保たれていることです。

人事院と同様に、ある程度国会から切り離されており、業務の内容も裁量性の高いものであることから、自身の業務を自律的に決められるという特性があります。

また、以下の記事で扱ったように、本府省の中でトップクラスで昇格が早いという特徴もあります。これは総合職・一般職のいずれにも共通します。

転勤の代わりに出張が多い

人事院と異なる点は、会計検査院は地方支分部局を持たないという点です。

これによって、転勤は基本的に無いものの、権限が全国に及ぶことから、全国に出張に行く可能性があります。

部署にもよりますが、検査業務を主に扱う部署に配属されている間は、一年の間に何度も地方へ泊りがけの出張に行くことになるようです。

採用者数

採用規模もそこそこ大きいです。国家総合職は例年5名程度、国家一般職では例年20名が採用されている実績があります。

公正取引委員会

続いて、公正取引委員会について紹介します。

公正取引委員会の概要

公正取引員会は、いわゆる「三条委員会」の一つです。

三条委員会とは、国家行政組織法第3条(以下)に根拠を持づく行政員会のことで、独立性を持って行政権を行使することができる立場にあります。

国家行政組織法(昭和23年法律第120号)

(行政機関の設置、廃止、任務及び所掌事務)
第3条 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。
2 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
3・4(略)

国家行政組織法 | e-Gov 法令検索

公正取引員会の業務は、独占禁止法(昭和22年法律第54号)の規定に基づき、企業の私的独占や寡占を取り締まることにあります。

経済学の基礎的な話になりますが、市場経済は、基本的に介入を必要とせず、市場によって内在的に最適な資源配分が達成されると考えられています。一方で、以下のように、「市場の失敗」が起きる場合には、政府が介入して、それを正すことで、資源配分を最適化する必要があると考えれているのです。

「市場の失敗」の例
  • 独占・寡占等による不完全競争市場
  • 外部経済・外部不経済
  • 情報の非対称性
  • 公共財の供給不足

以上のうち、「独占・寡占等による不完全競争市場」を解決するために存在する機関が、公正取引員会という建付けになっているのです。

職場としての公正取引委員会のメリット

職場としての公正取引委員会のメリットとしては、これまでに紹介してきた組織と同様です。

法制執務に係る機会や、国会との繋がりが僅少であることから、中央官庁と呼ばれる役所の中ではワークライフバランスが比較的良好です。

転勤は発生し得る

公正取引員会についても、全国に事務所を持つため、転勤が発生し得ます。

霞が関の本局で採用された場合は、一度以上、いずれかの地方事務所に転勤になる可能性が高いです。採用後数年経ってから、地方事務所に2年間配属されることが多いです。

一方、地方事務所で採用された場合も、一度以上、霞が関の本局に配属される可能性が高いです。

採用者数

採用者数は以下のとおりです。

  • 国家総合職(本局採用):例年5~10名程度
  • 国家一般職(本局採用):例年10名強程度
  • 国家一般職(地方採用):機関によるが、若干名

その他

以上です。

「省」「庁」以外の名前の中央官庁のうち、そこそこの採用ボリュームがあるものを主に紹介しましたが、同様の理由で職場としておすすめできるところは他にも多くあります。

たとえば、個人情報保護委員会カジノ管理委員会等が挙げられます。

採用難易度は高めであるため、独自の対策が必須

上述した役所は、職場としては魅力的ですが、大量採用の省庁と比べると、採用者数は比較的絞られています。基本的には狭き門といえます。

国家公務員試験に最終合格した後に行われる官庁訪問については、倍率は公表されていませんが、上掲の役所はどこも倍率が高くなりがちと考えています。

(このことは以下の記事でも触れています。)

こうした役所に官庁訪問を行って内定を得るためには、官庁訪問に特化した対策を積んでおくことが必須です。

たとえば、アガルートアカデミーの官庁訪問対策講座のような、官庁訪問に特化した講座を受講しておくことが重要となります。

くわえて、模擬面接等も経験しておきたいです。官庁訪問では、民間企業や自治体の面接にはない独自の空気感があります。一方で、よく受ける質問等は限られているため、ある程度対策を行うことで採用率を高めることが可能です。

上掲のアガルートアカデミーの官庁訪問対策講座であれば、模擬官庁訪問についても取り扱っているため、官庁訪問の対策として大いに推奨できます。

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