この記事では、少し雑談めいたトピックを扱います。国家総合職として官庁に入庁すると得られる「横のつながり」について紹介することを目的とした記事です。
筆者は暫く前に国家総合職として某官庁に採用されたのち、現在は退職済みですが、今でも他の官庁にいる友人との関係は続いています。
国家公務員の人気が凋落しているとはいえ、国家公務員の人材のレベルは高い水準にあると感じますし、各官庁に在職している友人と話していると好奇心を刺激されることが多いです。
国家総合職を経験することのメリットの一つとして、このような「横のつながり」を得られることが挙げられると感じています。
具体的には、国家総合職として採用された場合、次のような場面において、他官庁と交流することできます。
内定者交流フットサル大会
国家総合職としての横のつながりは、採用される以前から始まります。
官庁訪問を経て内々定・内定を得た後、毎年冬頃に、国家総合職としての採用がある全ての機関と、日本銀行の内定者によって、スポーツ大会が開催されています。
昔に、旧大蔵省と日本銀行による交流会を端緒として、徐々に参加機関が増えて今の形になったと言われます。
かつてはソフトボール大会を行っていたところ、現在はフットサル大会に変わっているそうです。また、コロナ禍の際にも、クイズ大会のようにオンラインでできるものに形を変えて存続していたそうです。
もちろん強制参加ではなく任意参加ですし、観戦の形で参加することもできるようになっているはずです。
特徴として、財務省に加えて、前年のスポーツ大会で最下位になった官庁が内定者交流大会の幹事を行う文化があるようです。
また、例年東京大学のキャンパスのグラウンドを借りて行うのが常例となっています。

(個人的には、東大生の官僚離れが進む中、今後はどうするのかという疑問があります。)
人事院による合同研修
続いて、人事院による合同研修です。特に、採用されて1年目に行われる初任行政研修と、3年目に行われる初任行政フォローアップ研修は貴重な機会です。
研修の内容については踏み込みませんが、他官庁との「横のつながり」という視点から、これらの研修について紹介します。
初任行政研修
採用1年目の夏頃に行われる初任行政研修は、内容も充実していますが、他官庁との交流を得られるという意味で極めて貴重な機会です。
コロナの際には縮小されていましたが、現在も2週間程度の期間をかけて行われている大規模な研修の一つです。
例年、国家総合職等の区分で採用された約900名程度の新規採用職員が対象となります。
特徴としては、100名ごとに実施日程(コース)を分けて、埼玉県入間市にある人事院公務員研修所に集合して、合宿形式で行われるということです。
官庁の枠組みを超えた100名で同じ食堂でご飯を食べたり、講義を受けたりすることになりますし、受講生の中でも何かと交流を深める機会を設けようとする動きも起こりやすいです。
さらに、合宿期間中に官庁の枠を超えて6名前後のグループを組んで継続的な課題に取り組むほか、合宿期間中に4名前後のグループで全国の自治体に訪問するようなプログラム(地方自治体実地体験)もあります。
政府の重職の方が講師を務めるような講義もあるため、研修の内容は充実しています。しかし、それ以上に、自然と他官庁との繋がりを得やすい研修になっていて、振り返ると、この意味でとても貴重な経験だったように思えます。



筆者が公務員を退職してからも繋がっている友人とは、主にこの初任行政研修で出会いました。
初任行政フォローアップ研修
採用3年目の秋頃に行われる「初任行政フォローアップ研修」についても、合宿形式で行われる形式です。
合宿形式で行われるため、他の官庁と自然と交流することができますが、上述の合同初任研修と比べると、3年目にもなると皆落ち着いた雰囲気になっています。
一方、合同初任研修で仲良くなった他官庁の職員と数年ぶりに再会することができる機会でもあるため、この間にそれぞれが経験したことなどで話に花が咲くことが多いです。
国会連絡室(トンビ)
研修ではなく、業務においても、他官庁との関わりがあります。
日常的な原課での業務においてもそのことは言えますが、特に他官庁との関わりが濃厚な現場は、国会連絡室の業務です。いわゆる「トンビ」といわれる仕事です。
以下の記事でも少し触れましたが、トンビとは、各官庁や日本銀行の職員でありながら、国会の第一線にて情報収集を行う人たちのことです。
各官庁に国家総合職として採用された人が、勉強の意味合いで短期間だけ配属されるようなことが多いです。


トンビの仕事は情報戦であり、各官庁から来ている他のトンビたちとの情報交換が盛んに行われます。相互に助け合う雰囲気があるため、自然と仲良くなれる機会が多いです。
また、国会が閉会して、夏頃になると、例年、トンビたちによる自主的な懇親会が行われることも多いです。