この記事では、国家公務員採用試験の「官庁訪問」で用いられる用語や、俗語について紹介します。
官庁訪問に係る公の情報は、人事院のHPにおいて公表されているため、そちらをご参照いただければと思います。一方、この記事では、公式には発信されないが、実際には用いられることのある用語を紹介することを主な目的としています。
なお、以下で紹介する用語等は、すべて、国家総合職と国家一般職のいずれにおいても共通して用いられるものです。
人事面接・原課面接
まずは、「人事面接」と「原課面接」についてです。
スラングかと思いきや、実際に官庁訪問においても職員が用いることもあるため、知っておいた方がよい言葉です。
人事面接
人事面接とは、文字どおり、各官庁の人事課との面接です。人事課の係員や係長から、企画官・室長級、課長級等の幹部と面接する場合があります。
後述する原課面接に対して、人事面接では、ベーシックな質問が行われることが多いです。
受験する立場として意識したいのは、採用の実務を行っているのは飽くまで人事課の職員であり、採用のロジや事務的なことについて話題に上げたい場合は、(原課面接)ではなく人事面接においてすべきということです。
原課面接
続いて、原課面接とは、各官庁の(人事課ではなく)原課の職員と面接を行うことです。
原課とは、人事課以外の、各官庁の実務を行っている課のことを指します。原課の職員は、普段は所管の行政実務を担っていますが、官庁訪問期間中に、人事課からの要請を受けて臨時的に面接官を行う場合があるのです。
地方公務員の面接では、基本的に各自治体の人事課(職員課)の職員が面接を行うことが多いため、この点において違いがあるといえます。
また、原課面接でどのような面接を行うかは、面接を行う現課の職員に一任されていることが多いため、独特な質問が行われることが多いです。(官庁訪問で訊かれることの多い質問については以下の記事にまとめておりますので、よろしければご覧ください。)


また、受験生の立場として意識したいのは、原課面接は、面接官が所属する原課の行政実務のことについて知る、又は情報を集める貴重なチャンスであるということです。
官庁訪問では様々な面接官と面接を行うことになります。原課面接も複数・多数行われることが多いです。
官庁訪問では、いかに熱意があるかをアピールすることが重要ですが、熱意を図るための一つの尺度は、「業務への理解度」です。そのため、特定の行政実務を担う職員と直接話すことができるというのは、極めて貴重なチャンスです。
入口面接・出口面接
次に、「人口面接」と「出口面接」についてです。
こちらも、実際に官庁訪問において職員が用いることもある言葉です。
入口面接
前提として、官庁訪問では、朝に集合したのち、1日のうちに何度も面接が行われることが多いです。このうち、1日の最初に行われる面接のことを入口面接と呼ぶことがあります。
入口面接は、人事面接と原課面接のいずれの場合もあります。
出口面接
一方、出口面接は、入口面接に対置される言葉です。一日のうち、最後に行われる面接のことをいいます。
出口面接は、職員から受験者に対して、その一日の受験者の評価や、次回の訪問に呼ばれるかどうか、内々定の有無等について告げられることになるため、重要な面接です。
とはいえ、出口面接までに行われるそれぞれの原課面接・人事面接において評価が行われているため、実際にはこれらの面接で既に勝負がついています。その結果を告げられるのが出口面接ということになります。
エレオク
「エレオク」は、官庁訪問にまつわるスラングです。ノンオフィシャルな言葉なので、職員の方が発することは無い印象です。
エレオクとは、不採用にすることを決めた受験者について、職員が「エレベーターの前までお見送りすること」です。
訪問している官庁で待機している際に、職員から「〇〇さん、荷物を持ってお越しください」と呼ばれた場合、そのまま不採用の旨を告げられ、エレオクされることがあるというジンクスがあります。
逆にいうと、エレオクされずに1日の最後まで残り続けた人が、出口面接や次回の訪問の予約、あるいは内々定に辿り着くことができるということになります。
囲い込み
続いて紹介するのは、「囲い込み」です。
これは、公務員試験の官庁訪問に限らず、民間就活においても用いられることもあるスラングだと思います。
マイナスなイメージで用いられることが多いので、職員の口から発せられることはなく、主にネット・SNS等で見かける言葉です。
官庁訪問には、決められた期間内でなければ選考・面接を行ってはならないといったルールがありますが、選考・面接より先に行われる業務説明会や、「質問会」のような場において、目ぼしい受験者を確保しようと働きかけることが「囲い込み」に当たります。
もちろん、人事院によって禁止されていることではありますが、グレーなやり方で、囲い込みに近いことが今も行われている場合もあります。
国家総合職では聞いたことはありませんが、人材の確保が厳しい一部の地方出先機関では、国家一般職の内々定者を確保するために未だに残っているところもあると感じます。
五大省庁
最後に、「五大省庁」についてです。
公務員試験界隈に限って用いられる言葉で、特に人気の高い5つの省庁の総称のことです。
人にもよりますが、財務省、外務省、経済産業省、警察庁、総務省の5つを指す場合が多いです。
ちなみに、中央官庁の実務の現場である霞が関においては全く意識されない概念です。
しいていえば予算の配賦の権限を持つ財務省(特に主計局)が何となく高位の存在であるという意識があるくらいで、実際の霞が関では、官庁同士の関係はフラットです。
筆者も霞が関で長く勤務していましたが、5大省庁という言葉を実務で聞いたことはありませんでした。
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以上です。
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