公務員試験の対策の仕方は、大きく分けるとお公務員試験の対策の仕方は、「予備校」を活用するか、「独学」で推し進めるかの二つに大別することができます。
この記事では、それぞれのメリット、デメリットについてお話しします。
予備校を活用する場合のメリット
情報収集の質と量が高い
予備校を活用する一番のメリットは、質の高い情報が自然と集まってくるという点にあります。公務員試験は、試験の制度が毎年のようにマイナーチェンジされたり、出題にトレンドがあったり、試験の出願の仕方にコツがあったりします。こういった点において、情報を持っているか持っていないかでは大きな差がついてしまいます。
そういった意味で特におすすめできるのは、通信講座ではなく通学講座です。その場で講師に質問する環境が整っているからです。
- 通学講座:予備校や大学の教室に赴き、講義に直接参加する形式の講座。予備校の校舎に通う形式のものと、自身の大学で受講できる形式のものがある。
- 通信講座:オンデマンド形式で配信された講義のビデオを閲覧する形式の講座
通学講座の中には、「公務員試験予備校EYE」のように担任の講師がついてサポートを行う体制のところもありますので、公務員試験の制度自体に馴染みがない方は活用するのも手です。
難解な科目について理解しやすい
もう一つは、難解な科目について理解しやすいという点です。ここで想定しているのは、特に以下のような科目です。
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 民法(法学初学者の場合)
- 判断推理
- 数的推理
公務員試験の科目は、憲法や政治学、行政学のような「暗記・知識系」の科目もありますが、ミクロ経済学のように理解を求められる科目も存在します。これらの科目は、初学者がいきなり過去問集に手をつけても、イメージが掴みづらく、難航してしまうことも多いです。そこで、まずは導入のインプットとして予備校を活用した上で過去問集に取り組むことで学習が捗るのです。
また、公務員試験の勉強は大学の講義とは全く性格の異なるものです。大学で法学部で学んでいた場合は、公務員試験の法学系科目(憲法・民法・行政法)の学習において大きなアドバンテージになりますが、必ず公務員試験に向けた学習を行わなければ、合格に必要な得点力は身につきません。アカデミックな学力と、公務員試験の得点力は別物ですので、法学や経済学の既修者の方でも、予備校の講座で公務員試験向けにインプットし直すことは有用です。
面接対策や受験戦略についてもカバーできる
もう一つのメリットは、面接対策や論文対策、受験戦略等についてもカバーできることです。
予備校の講座のパッケージの種類にもよりますが、予備校の本科コース等では、面接対策や論文対策、受験コーチングもパッケージに含めて対応していることが多いからです。あるいは、予備校によっては単科的に面接対策の講義や模擬面接を行うことも可能です。
翻っていうと、早い場合は大学3回生の春や夏頃から予備校に通って対策を始める人もいますが、予備校に申し込む段階で、面接対策等についてどこまでカバーしてくれるかを確認しておくことが重要です。公務員試験対策は座学の対策がメインであることに間違いはありませんが、申込みの段階でそこまで見越しておくとベストです。
王道ですが、以下の大手予備校の講座であればだいたいは面接対策も含まれていることが多いです(が、志望する試験種のコースの内容にもよるため、必ずご確認ください。)。
ライバルと知り合える
最後のメリットは、ライバルと知り合えることです。なんだかんだで友人がいると切磋琢磨できるものです。これは、通学講座に特有のメリットとなります。特に、学内講座ではなく予備校に通うタイプの講座であれば、他の大学の出身者や公務員試験浪人等とも知り合えるため、非常に刺激になります。
逆にいうと、「ライバルなんか居なくても自分で勉強できる」「情報は自分で集められる」というタイプであれば、通信講座が向いているといえるかもしれません。
予備校を活用する場合のデメリット
予備校を活用する場合のデメリットはさほど大きくありません。基本的には、予備校を活用することは、独学の上位互換であるとも考えられるからです。たとえば、一度予備校の講座を受講してみて、不要だと感じれば、通学をやめて独学に切り替えるということも可能だからです。
金銭的な負担が大きい
予備校を活用することのデメリットは金銭的な負担に尽きます。おおむね、予備校を活用する場合には以下の目安の金額が必要となります。
- 面接、論文等も含めた総合本科コース(通学):30~50万円程度
- 座学の基本講義を中心としたコース(通学・通信・学内):15~30万円程度
- 特定の科目の単科講座:数万円程度
入校のタイミングは、大学生の場合は大学3回生の春から秋にする人が多いですが、大学3回生の冬や大学2回生の間に入校するコースも準備している予備校が多いです。基本的には、入校のタイミングで一括もしくは分割で支払えば、それ以降に追加の費用は発生しません。このタイミングは、今後の人生を左右する重要な期間ですので、金額を惜しまずにチャレンジすることを推奨いたします。
独学で対策する場合のメリット
それでは、予備校を活用せず、独学で公務員試験の対策を行うことのメリットについて検討します。
まず、公務員試験は、最難関である国家総合職を含め、独学で合格、内定に至ることも可能です。私が某中央官庁に勤めていた際にも、少なからず独学で勉強していたという同期が居ました。公務員試験の核は過去問集の理解と演習の繰り返しなので、それさえクリアすれば合格を掴むことは可能です。(このサイトでは、以下のように独学で合格された方の合格体験記も紹介しています。)


ただし、ほとんどの人にとっては、予備校を活用した方が合格可能性が高くなると考えています。予備校には上述したとおりのメリットがあり、そして、予備校は独学の上位互換に近い性質のものとなっているからです。
費用が安い
独学のメリットがあるとすれば、先述の裏返しとなりますが、費用が安く済むことです。誰しもが予備校に通うための金額をペイできるわけではありません。金銭的なことのみを考えれば、独学に軍配が上がります。
ただし、独学の場合でも、公務員試験の核となる過去問集等を購入する必要があることに変わりありません。「スー過去」や「解きまくり」といった有名どころの過去問集を一式揃えると、1~3万円程度の金額は必要になります。
合格するまでに必要となるテキスト・過去問集の目安については、以下の記事が参考になります。

通学の手間を省ける場合もある
また、予備校に通学するための時間を勉強に充てることができるという考え方もあります。通学の往復に1日1時間かかる場合は、200日通学すると200時間です。以下の記事で紹介したように公務員試験は1,000時間もあれば十分に合格できますから、その1/5に相当する時間です。200時間もあれば、公務員試験の専門試験科目をいくつか完璧にすることが可能です。

ただし、それ以外のメリット・デメリットも含めると、総合的に有利なのは予備校活用組になると考えています。
また、これは通学講座との比較の話であり、自宅で受講するタイプの通信講座であればそもそも通学の時間は発生しませんし、通学講座であっても、電車やバスで移動している間に参考書を読んで学習することも可能です。
独学で対策する場合のデメリット
独学で対策する場合のデメリットは、何といっても機会損失です。上述したとおり、予備校組にはさまざまなメリットがあるため、それを享受できない分、コストパフォーマンスの面で後れを取ってしまいがちになります。
予備校を活用する場合の、「情報収集の質と量」「難解な科目について理解しやすいこと」「面接対策や受験戦略についてもカバーできること」「ライバルと知り合えること」といったメリットが得られないため、独学の場合は相対的にこれらがデメリットとなってしまいます。
おすすめの公務員試験の予備校
続いて、公務員試験の予備校をいくつかおすすめします。
資格の予備校 LEC東京リーガルマインド
まずは、LEC東京リーガルマインドです。
ずっと前からある大手予備校です。司法試験対策等にルーツがあるため法律系科目に強い予備校です。大手予備校だけあって、全国に展開されています。コースの数が多いので、志望者の志望先やニーズに合わせたものが見つかりやすいです。大学によっては大学生協と提携して学内講座を行っています。
ただし、筆者がLECをおすすめする最大の理由は別にあります。繰り返しになりますが、公務員試験は究極的には過去問集の演習を完成させるための作業です。そこで、何の過去問集を用いるかが重要になりますが、過去問集のスタンダードの一つである「過去問 解きまくり!」シリーズは、LECが出版しているものなのです。LECの講座でインプットした後に「過去問 解きまくり!」シリーズの演習に移行しやすいというメリットを得ることができます。
資格の学校TAC[タック]
続いて、資格の学校TACです。
こちらも老舗の大手予備校です。あらゆる資格や試験に事業を展開しておりますが、公務員は特に強いです。事業規模が大きく全国展開しており、公務員試験のコースの幅も広いです。
TACの強みの一つはスケールメリットにあると考えます。上述した予備校活用のメリットのうち、「情報収集の質と量が高いこと」などはTACによく適合します。たとえば、TACの本科生が閲覧できる「面接復元シート」はその最たる例です。面接復元シートとは、歴年の受験生が、公務員試験の面接でどのような質問を受けたか、面接の時間はどれくらいだったか、面接官は何人いたか、その合否等を記録したものです。こういった情報の蓄積があることが、大手予備校としてのTACの強みです。
公務員試験予備校EYE
もう一つ、公務員試験予備校EYEを紹介します。
EYEは、東京を中心に展開している公務員試験予備校です。校舎は都内のみですが、学内講座として大学と提携もしているようです。
EYEの魅力は、その面倒見のよさだと考えています。大手予備校とは異なる強みがあります。本科生は担任制をしいていて、学生には担任の先生がつくことになります。まさに予備校のような雰囲気があります。
また、EYEは地理的に東京に集中しているため、特別区や都庁、国家公務員のうち本府省や関東圏の出先機関を志望する受験生が集まりやすいという特長があります。特に特別区Ⅰ類の対策には強い印象がありますので、これらの志望度が高い場合には強くおすすめしたい予備校です。同じ志望先を目指す受験生とも繋がりやすいのでメリットが大きいです。
「ココナラ」等の活用
最後に、「予備校か独学か」といったお話から少し逸れますが、第三の選択肢して、「ココナラ」等のスキルマーケットの活用をおすすめしておきます。
筆者が受験生だったのは10年以上前ですが、当時と比べると、公務員試験の戦略の立て方にも違いが生まれています。たとえば、Xや、LINEのオープンチャット等で誰でも情報を入手しやすくなったということもありますが、一番大きな変化は、ココナラのようなプラットフォームの存在だと思います。
特にココナラは公務員試験対策関係のサービスが多く出品されています。こういったサービスを上手く使いこなすことは、受験戦略において大いに有用であると考えています。たとえば、以下のような使い方が考えられます。
- 予備校で模擬面接を行ったが、その補完としてココナラでも模擬面接を行った。
- 独学で学習してきたが、面接カードの書き方を相談できる人が周りにいないため、ココナラを活用した。
- 志望する自治体の研究のため、レポートの作成をココナラの出品者に依頼した。
また、スポット的に使うことができるので、金銭的なコストを必要最小限に抑えることができるというメリットもあります。