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国家一般職行政区分における地域区分の選び方について

国家一般職の行政区分は、北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の9つの地域区分が設けられています。基本的には、志望先が固まっていればその地方出先機関の所在する地域区分を、あるいは志望先が定まってなければ単に実家や大学の所在地の地域区分を受験する方が多いと思います。しかし、このような基準だけで地域区分を選択することは勿体ないかもしれないというお話をさせていただきます。

目次

地域区分により難易度が大きく異なる

まず、前提として、国家一般職試験行政区分では、地域によって難易度が大きく異なることを認識されておくべきです。本サイトでは、以前、こちらの記事で地域別のボーダーを精密に比較したことがあります。

一部算出を行っていない地域(中国、四国、沖縄)もありますが、上掲の記事から国家一般職の1次筆記試験のボーダーの一覧表を抜粋します(少し古いものですが、現在も傾向に変わりはありません。)。

令和4年度で最も難易度が高かった近畿区分ではボーダーが「教養22点、専門26点」であったのに対して、北海道区分では「教養13点、専門17点」となっており、驚異的なまでの差があります。正直、北海道区分は試験としての体を成しているか疑ってしまうほどの難易度です。素点合計80点のうち30点がボーダーということは、割合で言えば37.5%の正答率で合格できるということです。公務員試験は文章理解や資料解釈等のように無対策でも点数が取れる問題が10問以上ありますので、それらを正答し、それ以外のところを運に任せたとしても合格できる可能性もあります。とりあえず国般行政北海道を併願しておけば、公務員試験において全落ちという結果は回避できるのではないかとまで思ってしまいます……。

ちなみに、全ての地域区分を含めて、例年の実績から各地域区分の難易度を序列化するとすれば、以下のようになると考えています。例年近畿や関東甲信越の難易度が高く、区分によっては国家総合職を凌ぐ難易度となる年度もあると考えています。一方、極端に難易度が低いのは東北、北海道です。

国家一般職試験行政区分の難易度の序列(上ほど難しい)
  • 近畿
  • 関東甲信越
  • 東海北陸
  • 九州
  • 沖縄
  • 四国
  • 中国
  • 東北
  • 北海道

本府省は全ての地域区分から官庁訪問が可能

受験戦略を考える上で気に留めておいていただきたいことの1つに、「本府省は基本的にどこの地域区分からでも官庁訪問を受け入れている。」ということです。したがって、以上のとおり、これほどまでに難易度に大きな差異がある国家一般職試験において、本府省を第一志望とする場合は、北海道区分を選択することが最も「お得」であると捉えることもできます。

複数の地域区分からの官庁訪問を受け付けている出先機関がある

また、全国の出先機関においても、複数の地域区分から官庁訪問を受け入れている機関が多数あります。これは意外と把握している受験生の方も多いと思います。近年に複数の地域区分のからの官庁訪問を受け入れていた出先機関を列挙すると次のとおりとなります。

  • 北陸地方整備局 …… 東北・関東甲信越・東海北陸から訪問が可能
  • 中部地方整備局 …… 関東甲信越・東海北陸から訪問が可能
  • 近畿地方整備局 …… 東海北陸・近畿から訪問が可能
  • 北陸信越運輸局 …… 関東甲信越・東海北陸から訪問が可能
  • 名古屋税関 …… 関東甲信越・東海北陸から訪問が可能
  • 大阪税関 …… 東海北陸・近畿から訪問が可能
  • 神戸税関 …… 近畿・中国・四国から訪問が可能
  • 門司税関 …… 中国・九州から訪問が可能
  • 関東管区警察局 …… 関東甲信越・東海北陸から訪問が可能
  • 九州管区警察局 …… 九州・沖縄から訪問が可能
  • 北陸農政局 …… 関東甲信越・東海北陸から訪問が可能
  • 中国四国農政局 …… 中国・四国から訪問が可能
  • 近畿中国森林管理局 …… 近畿・中国から訪問が可能

ただし、例年変動もあることから以上は参考までに留めてくださるようお願いします。ご自身で必ず志望先機関の説明会へ赴き、本試験の申込みまでに、どの地域区分からの官庁訪問が可能であるかを確認しておくべきです。ネット上である程度確認しておきたい場合は、人事院の各地方事務局HPに掲載されている「採用予定機関一覧」のページ(PDF)を参照してください。例えば、東海北陸辺りの機関について調べたい場合は、人事院中部事務局HPの「一般職試験(大卒)の採用情報」から、「2023年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度)採用予定機関一覧【PDF】」に記載があります。

ボーダーの低い地域を選ぶのは賢い受験戦略

国家一般職では、地域区分によって難易度に大きな隔たりがあるにもかかわらず、以上のとおり、複数の地域区分からの官庁訪問を受け入れている機関が多数あります。したがって、本府省を志望する場合、出先機関を志望する場合のいずれにおいても、あえてボーダー、すなわち難易度の低い地域区分で出願することはクールな受験戦略であると結論づけます。

所縁のない地域区分で受験することにはリスクが伴うと考える方もいらっしゃるかと思います。思いつく限りでは、人事院の面接試験においてはあえてその地域区分を選択した理由を問われる可能性もありますが、「〇〇局の仕事にどうしても携わりたいと考えており、△△地区であれば2つの〇〇局に官庁訪問できるため、魅力に考えました。」といった程度の説明ができれば問題ありません。そして、その後の官庁訪問では気にされません。機関にとっては官庁訪問はあくまで一緒に働きたい人を選定するための場所だからです。受験の地域区分など気にしません。

かつを

私も受験生時代には自身の全く縁の無い地域区分で受験しましたが、そのことは人事院面接においては一切触れられませんでした。むしろ、官庁訪問においては当該官庁への志望動機が高いと判断されたのか、プラスに評価されたようで、某地方出先機関から内定を頂きました。

また、試験会場についても、詳細は人事院の受験案内に記載がありますが、第1次筆記試験においては、地域区分にかかわらず基本的に全国で受験が可能です。ただし、第2次試験(人事院面接)では当該地域に赴く必要があります。

早めに志望先を選定し、説明会へ

なお、地域区分の選定は例年3月の受験申込時に行う必要があります。そうすると、それまでに、志望先に対して、どの地域区分から官庁訪問が可能であるのかを確認しておく必要があります。例年3月には人事院により「官庁公開フェスティバル」といった合同説明会が開催されるほか、それまでの期間においても各大学で合同説明会が随時開催されているため、こういった場所へ足を運んでおくことが賢明です。

まとめ

  • 国家一般職試験では、地域区分によって難易度に大きな隔たりがある。
  • 本府省については、すべての地域区分から官庁訪問を行うことが可能である。
  • 出先機関については、複数の地域区分から官庁訪問を受け入れている機関も多数ある。
  • 以上を踏まえて、ボーダーが低い地域区分を選択して受験することは受験戦略として有意義である。

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