公務員試験の面接試験において、女性の方が有利であるという声を聞くことがあります。試験実施機関は基本的に男女別の受験者数及び合格者数を公表しているので、今回は、主要な試験種の面接試験における男女別の合格率を独自に調査し、その結果を一覧化することとしました。
各試験種の面接試験の男女別の合格率
早速ですが、調査結果は以下のとおりです。
集計基準(押すと開きます。見たい方だけどうぞ。)
- 国家総合職、国家一般職等は、最終合格に至るまでの面接の倍率で算出。
- 地方自治体等で、複数回面接が行われる場合は、すべての面接の回数を通算した値で計上。
- 基本的に直近の年度を基に集計を行ったが、特別区については令和元年度以降男女別の値が公表されていないため、平成30年度の値に基づく。
以上のとおり、まず、面接試験において女性よりも男性の方が高い倍率が生じている試験種は、今回調査した範囲では見つかりませんでした。
また、愛知県庁、裁判所事務官の高松高裁管区等では、男女間で倍率に2倍近い差が生じているところもありました。
なお、国家系においては基本的にすべての試験種で男女別の倍率を公表していたのに対して、地方自治体においては一部でしか公表を行っていないという違いがありました。特に政令市はデータに乏しいため、上表において含めることができませんでした。
面接試験は女性にとって有利なのか?
以上の結果から、性別と面接試験の倍率に明らかな相関関係があることは間違いありません。公務員試験において「男性よりも女性の方が面接試験を通過する確率が高い」ということは紛れもない事実だと言えそうです。
しかし、性別が面接試験結果に対する独立の因果関係を持つと断言するのは早計です。「採用者の男女比率を保つために試験の実施機関が調整を行うため、女性の方が有利だ」という意見を聞くことがあります。全国レベルのメディアによって報道されていたこともあります。たしかにその可能性も捨象できませんが、単に女性の方が、面接試験の場で高く評価される要素を備えている受験者が多いに過ぎない可能性も、否定はできません。これはなんとも絶妙なところなのですが、一概に女性が面接試験において優遇されていると断定はできないという状態になっているのです。