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公務員試験の新卒枠を高齢で受験すると不利になるのか【既卒者・社会人】

大学新卒区分の公務員試験は、22歳前後の大学新卒の方のほか、年齢制限が緩和されている昨今では30歳くらいまで受験できるとされていることが多いです。

今回は、この、大学新卒区分の公務員試験を高齢で受験した場合に不利になるのかといったトピックを扱います。

山下

なお、筆者も国家総合職を年齢制限ギリギリくらいで受験して最終合格ののち、某官庁に採用された経験があります。

目次

各試験の大学新卒区分の年齢制限

まず、各試験の大学新卒区分の年齢要件について確認します。

国家公務員の大卒区分試験の年齢制限

国家公務員の場合は、ほぼ全ての試験種において、30歳が年齢制限とされています。国家総合職、国家一般職、国税専門官、財務専門官、外務省専門職、法務省専門職、労働基準監督官等、すべて画一的に30歳とされています。

ちなみに、過去は20代中盤くらいで締め切ってものの、昨今の公務員試験の倍率低下の影響もあってか、徐々に引き上げられてきています。

地方公務員の大卒区分試験の年齢制限

一方、地方公務員の場合は、完全に自治体によってバラバラとなっていますが、おおむね国家公務員に準じて30歳前後としているところが多いです。

国家公務員と同様に、トレンドとしては徐々に上限が拡大されてきています。中には、既に35歳くらいまで年齢要件を緩和しているところもあります。

高齢・既卒だと不利といわれる理由

年齢が高めであったり、既に大学を卒業して年月が経過していると不利だと言われることがありますが、その理由は主に次の二つに分けられると考えています。

社会人の場合、筆記試験の勉強をとる時間がないから

まずは、既に社会人(公務員・民間企業等)として働いている場合は、筆記試験の勉強をする時間がないからです。これは確かにそのとおりで、公務員試験の勉強は代替性の低いものなので、特化した勉強が必要になります。大卒区分の場合は法学や経済学等の専門科目の出題があることがほとんどですが、この対策に時間をかけることのできる大学生の方が有利なことは間違いありません。

大学卒業後の経験を求められるから

もう一つの理由は、大学卒業後の経験を求められることです。たとえば4年生大学を卒業後6年間を経過して28歳になっている方であれば、この6年間に何をしていたかを問われます。採用側からすれば、22歳の新卒者を採用した後に6年間かけて育てるということもできるので、高齢受験者はそれに対抗できるだけの経験をアピールできなければなりません。

現に、高齢受験者だった私が新卒者に混じって中央官庁に官庁訪問していたときには、面接官から「他の受験者より能力は高いが、これまでの経歴を考えれば当然である。もしあなたの能力で大学4年生ならば最高評価だった」と言われたこともあります。

社会人経験者・高齢受験者は新卒者とは別の基準で評価されることは避けられないため、その点に留意する必要があります(いわばダブル・スタンダード)。

対策

以上のとおり、不利になり得る要素はあるものの、年齢が高めだからといって公務員試験の受験を諦める必要はないと考えています。高齢で大学新卒区分の公務員試験を受験する場合の留意点は次のとおりです。

筆記試験のウェイトが小さいところを受験する

受験戦略的な話ですが、公務員試験には、筆記試験重視のもの、面接試験重視のもの、論文試験重視のものがあります。上述のとおり、現に社会人で筆記試験の勉強の時間が確保できない場合には、筆記試験のウェイトが小さい公務員試験を狙うという戦略が有用です。

詳細は以上の記事にまとめていますが、総じて、国家公務員は筆記試験でもある程度の成績を求められるような構造となっていることが多いですが、狙い目のところもあります。例えば国家一般職は、地域区分を選ばなければ筆記試験の倍率が1.3倍程度になる年度もあります。倍率が1.3倍ということは、100人受ければ77人が通過する計算です。平均点を大きく下回っていても通過はできる勘定です。

一方で、自治体にもよりますが地方公務員は狙い目の所が更に多くなります。たとえば、大量採用の特別区Ⅰ類も同様に、近年は倍率が低下しており、筆記試験の倍率が1.3倍程度になる年度もしばしば見受けられます。社会人として働きながらでも、筆記試験を何とか通過できるくらいの対策を積めば、大きな時間をかける必要のない論文試験や面接試験で十分に挽回することが可能です。

また、採用試験の評価の仕方として、筆記試験と面接試験の評点を基に合否を決定するところが多いですが、例えば京都市のように、二次面接以降はそれぞれの面接試験の評価のみをもって合否を決定する方式(リセット方式)を採っているところもあります。このような形式であれば、更に、採用試験に占める筆記試験の実質的な比重が小さくなるため、筆記試験で後れを取りやすい社会人受験生にもチャンスの余地が大きいです。

なお、公務員試験(特に地方自治体)には社会人枠の試験を設けていることがほとんどです。社会人枠の試験にも要件がありますが、それを満たしている場合は、そもそも筆記試験の無い社会人枠で受験できることもありますので、志望先のHPをチェックしてみてください。

大学卒業後の経歴について語れるようにしておく

大学卒業後に年数が経過している場合には、面接試験において、その間に何をしていたのかを必ず問われます。単に問われるだけでなく、深堀りされる可能性が高いです。以下のポイントを参考に、想定問答を用意するなどして、説明がつけられるように準備しておく必要があります。

大学卒業後に企業の正社員として働いていた場合

たとえば、大学卒業後に企業に就職して働いていた場合、以下のようなことを質問されると想定されます。

  • その会社に入社した理由は何か
  • 新卒の時に公務員試験は受けていたのか
  • 新卒の時に公務員を志さなかった理由は何か
  • その業界から公務員に関心を持つようになった理由は何か
  • 折角その業界での知識・キャリアがあるなら、転職するにしても他の会社ではダメなのか

面接の場では、何でもよいので前向きな答えを準備しておきましょう。

大学卒業後に資格試験の勉強をしていた場合

  • (法科大学院へ行っていた場合、)司法試験を諦めることになるがいいのか。未練はないのか
  • (法科大学院へ行っていた場合、)法学の知識を公務員としてどのような場面に活かすことができると考えているか
  • 資格試験はどれくらいの実績があるのか。(たとえば税理士であればどの科目を合格しているのか、公認会計士であれば短答式に合格しているのかなど)
  • 税理士事務所や会計事務所、司法書士事務所で働きながら資格試験の勉強を続ける選択肢もあるはずだが、なぜ公務員に方向転換したのか

同様に、何でもよいので前向きな答えを準備しておきましょう。たとえば司法試験に受からなかったから公務員試験を受験しているようなケースでも、「司法試験に受からなかった」という理由だけではなく、公務員の仕事自体に魅力を感じていることが伝えられるようにしなければなりません。(ちょっと難しいですが…。)

大学卒業後に公務員試験浪人をしていた場合

大学卒業後に、1年か数年程度公務員試験浪人をしていたくらいであれば、この間に何をしていたかは明確なので、特に面接官に深堀りされることは少ないと想定されます。ただし、「昨年度に不合格になってしまった理由についてどう分析しているか」という類の質問は高頻出なので、何でもよいので回答を準備しておきましょう。

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