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公務員のワークライフバランスについて【市役所・省庁はホワイト?】

だいぶ昔には、公務員はホワイトな職場として知られていた時代があります。今でも、ご年配の方とお話しするとそういったイメージを抱かれていると感じることもありますが、実際のところはどうでしょうか。

この記事では、公務員と、民間企業(とりわけ比較対象になり得そうな日系大手企業)について、質的、量的な比較を行います。あくまで公務員を目指す方等に向けて一私見をまとめた記事に過ぎませんので、ご了承ください。

目次

地方公務員と日系大手企業の比較

地方公務員の場合、市区町村・都道府県の別に問わず、年々その仕事量は増加の一途を辿っていると感じます。公務員の仕事は、増えることはあっても、減ることは稀なためです。一つの部署に数年勤めたとしたら、一年目より二年目、二年目より三年目の方が業務量は増えているということが多いです。公務員の仕事はすべて法令に基づきますが、法律、政令、告示等は日々議論され、あくまでも外形上はアップデートされます。そうして、上級庁(都道府県ならば国、市区町村ならば都道府県)から新たな仕事が降りてくるのです。一方で、これら法令には「賞味期限」のようなものはありません。したがって、仕事が減ることはなくとも、増加し続けるという図式となっているのです。

ちなみに、ワークライフバランスを定量的に測ろうとする際に、超過勤務時間によって比較することは有効な手段です。たとえば、首都の基礎自治体の公務員である特別区職員の平均超過勤務時間は、以下の記事のとおり、月あたり20時間弱というデータがあります。これを民間企業と比較すれば、似たり寄ったりといったところかと思います。

日本のバブル期より以前は、「公務員はホワイト」「暇な公務員」というイメージが蔓延っていたそうですが、今はその面影はありません。定量的には業務量が増加し続け、

  • 量的には、地方公務員も、日系大手企業も同じくらい大変である。

というのが私の考えです。

一方で、働き方や業務内容の質については、公務員の方が過酷な環境にあると感じます。それを決定的にしたのが、新型コロナウイルス感染症だと考えます。民間企業では、日系大手、外資系、中小問わず、ポストコロナにおいて働き方が一気に多様化しました。一方で、公務員においては、テレワークの推進や就労時間の柔軟化等の面においてまだまだ後れを取っているという感が否めません。公務員の仕事はすべて法令に基づいていますが、それゆえに柔軟な対応を取ることが難しいことが理由だと考えます。とりわけ基礎自治体においては、戸籍住民課、生活保護課、介護保険課のように、そもそも住民と直接的に接することを根幹としている仕事も多いです。

また、新卒として地方公務員になりましたが、最初に経験したのは生活保護のケースワーカーでした。毎日のように被保護者からの罵倒を受けていましたし、在任中に一度だけ殴られたこともあります。ゴキブリが100匹、蛆虫が1,000匹くらいいるような家にも踏み込んだことがありますし、命の危険を感じることさえもありました。(もちろんこれは珍しい例です。自治体の中でも生活保護の現場は特殊勤務手当が支給されるくらいですから、特殊な職場といえます。)

仕事の内容について質的な比較をすることは難しいですが、それでも私は、次のように考えます。

  • 配属される部署にもよるが、地方公務員は、日系大手企業では経験しないような特殊な仕事、ハードな仕事を経験する可能性も高めである。

国家公務員と日系大手企業の比較

続いて、国家公務員のワークライフバランスについてですが、世間の認識のとおり、特に東京の霞が関に所在する中央省庁に勤務する場合は、基本的には激務です。(一方で、地方出先機関の場合は、ある程度ワークライフバランスを確保できる役所もあります。)中央省庁に勤務する国家公務員の残業時間については、人事院による統計上は月あたり30時間程度となっていますが、実態としては50-60時間程度ではないかと感じます。これでも少しは改善されているようで、先輩の話を聞くと、数十年前は深夜0時を超えてタクシー帰りが続くことが常態化していることもあったようです。現在はまったくそのようなことはなく、議員対応が絡むとたまにそういったこともあり得ますが、基本的には終電までに退庁することが可能なはずです。とはいえ、

  • 量的には、多くの日系大手企業よりもハードなことが多いのではないかと考えています。

また、中央省庁の労働環境については、こちらの記事にもまとめてありますので、よろしければご覧ください。

一方で、質的にはどうでしょうか。私は国家公務員総合職として中央省庁に勤務しましたが、日系大手を始め民間企業に勤めた経験はありません。そもそも仕事を質的に比較するということが難しいですが、国家公務員総合職を退職して民間企業(主にコンサルが多いです。)に移った知人に話を聞くと、「裁量を持って仕事をできるようになった」ということが多いようです。

  • 中央省庁の公務員の場合は、究極的な意思決定機関が組織内部ではなく、外部(国会)にあるという特殊性があり、仕事の裁量が小さくなってしまっているといえます。

霞が関の公務員の裁量がかつてと比べて小さくなったということは、各所で指摘されていることです。たとえば、少し古い本ですが「日本の統治システム―官僚主導から政治主導へ(堀江 湛、加藤 秀治郎)」に詳しいです。

日本の統治システム—官僚主導から政治主導へ [単行本] 堀江 湛; 加藤 秀治郎

公務員を目指す場合

少しネガティブなことも書いてしまいましたが、私はそれでも公務員は魅力的な職場だと考えています。特殊な業務に就く可能性があることも事実ですが、私の場合、振り返ってみれば特殊な業務は貴重な経験でした。中央省庁では激務に陥りがちなことは否定できませんが、人にはそれぞれの事情がありますので、それを無視して激務に従事させるようなことは考えづらいです。

もし公務員を目指す場合は、オンラインスクールや予備校を活用して、ある程度の期間をかけて公務員試験対策に打ち込むことが必要になります。最もおすすめできるのは、「アガルートアカデミー」の公務員試験です。「教養+専門型ワイド・スタンダード」のカリキュラムのように、総合的に対策できる講座を受講するのが手っ取り早いです。

注意したいのは、公務員試験はいわば生もので、流動性の高い試験であるということです。その傾向や試験制度は毎年少しずつ変わっていますし、出題の大宗を占める法律系科目は判例変更や法改正で出題範囲や出題内容が変わることも多いです。そこで、最近勢いがあるオンラインスクールとして、「アガルートアカデミー」のようなトレンドを押さえたスクールをおすすめしております。

まとめ

最後に、標題の問いに答える形で、私見をまとめさせていただきます。

  • 地方公務員、特に市役所や特別区については、量的には民間と同じくらいの大変さであるが、質的には、民間企業では経験し得ないようなハードな場面にでくわすことがある。
  • 国家公務員については、中央省庁の場合、量的には民間企業よりも大変で、基本的には激務である。一方で、地方出先機関の場合には、まったく様相が異なっている。

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