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公務員試験の教養試験と専門試験の配点比重は?【1点分の重さは単純に「1:2」ではない】

公務員試験界隈でよく誤解されていることとして、「教養試験と専門試験の1点の重みには倍の違いがある」、すなわち、「専門試験の1点は教養試験の2点に相当する」ということが挙げられます。しかし、これらは基本的には誤りです。本記事では、専門試験の1点が、教養(基礎能力)試験の何点分に相当するかについて以下で解説していきます。

目次

なぜ「1:2」と思われているのか

公務員試験の受験案内や試験要項には、各試験種目の配点比率が明記されていることが多いです。例えば国家一般職試験(大卒・行政区分)では、次のように明示されています。

試験試験種目配点比率
第1次試験基礎能力試験2/9
専門試験4/9
一般論文試験1/9
第2次試験人物試験2/9
国家一般職試験における各試験種目の配点比率
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)|国家公務員試験採用情報NAVI (jinji.go.jp) から抜粋して整理した

このように、単純に受験案内に示されている「配点比率」だけを見ると、基礎能力試験(いわゆる教養試験)は「2/9」、専門試験は「4/9」となっており、「教養試験:専門試験=1:2」と読み取れてしまいます。また、これは他の多くの試験種においても同様です。

しかし、実際には専門試験の素点1点分が教養試験の素点2点分に相当するというわけではありません。その理由を次で説明します。

実際の合否は「標準点」で決定される

国家総合職、国家一般職、国家専門職などの国家系試験では、各試験種目の素点を基に、どのように処理(計算)を行って合格者を決定しているかを公表しています。詳細は割愛しますが、平たく言えば、各試験種目の素点を標準点に換算し、標準点の比較により合格者を決定しています。素点を標準点を換算する際には、各受験者の実際の得点に、標準偏差を加味することとなります。公務員試験では、専門試験よりも教養試験の方が標準偏差が小さい(バラつきが小さく、平均点付近に集中した分布になっている)という特徴があります。そうすると、教養試験と専門試験のいずれも平均点が20点、実際の得点が25点だったとしても、バラつきが小さいはずの教養試験において25点を取ったことの方が凄い(偏差値が高い)ことと評価されるのです。上掲の「配点比率」のみならず、この「標準偏差によるバイアス」を含めた2つの要素によって実際の合否が決定されることとなるため、単純に教養試験と専門試験の素点1点分の重みは1:2ではないと言えるのです。

国家公務員の場合には、以上のとおり合否が決定されることが公表されています。一方、東京都特別区や県庁、政令市のような地方自治体の試験種では、内部でどのように処理されているかは公表されていない場合が多いです。

専門試験の1点は教養試験の何点分か

それでは、以下において、実際には専門試験の1点が教養試験の何点分に相当するかを検証していきます。国家公務員のものだけですが、実際に標準点ベースで計算をすると以下のとおりとなります。

計算の基準(押すと開きます。)
  • なるべく平均点付近における1点分の重みで比較している。
  • 主に小数点第2位以下の端数は任意に切り捨て、四捨五入等の処理をしている。
  • データは集計時に直近の年度のものを使用している。(例年、標準偏差に大きな変動はない。)

以上のとおりです。受験案内においては、各試験種の教養試験と専門試験の「配点比率」は「1:1.5」や「1:2」となっています。一方で、実際の教養試験と専門試験の1点分の重みの比を計算すると、実際の教養試験の比重は見た目よりも重いということが分かります。例えば、国家総合職(院卒・行政)等では、実際には素点1点分の重みに乖離がほとんどなく、「専門試験と教養試験のどちらで1点を伸ばしたとしても評価は同じ」であることがわかります。教養試験の1点の重さは見た目よりも大きいということを認識しておくべきです。「国家一般職の教養試験の1点分は専門試験の1点の半分に相当するから、教養試験は後回しでよい。」というのは、受験戦略としては正しいですが、前段の理由については誤りです。(教養試験より専門試験の方が勉強によって効率的に点数を伸ばすことができるから、教養試験を後回しにするというのが正しいです。)

まとめ

  • 教養試験の1点と専門試験の1点の重さは、単純に「1:2」や「1:1.5」ではない。
  • 実際には標準偏差を加味した標準点によって合否が決定される。
  • 実際には、教養試験の1点と専門試験の1点の重さの比は「1:1」から「1:1.5」程度であり、受験案内上の表示よりも教養試験の比重が大きい。

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