国家総合職として入庁した場合、特に大きな事情が無い限り、勤め続ければ管理職(室長級、課長級)に任用されることとなります。ところで、官庁によって、その早さが異なることはご存知でしょうか。この記事では、最新のデータを独自に整理した結果をお伝えします。
調査の方法
各官庁は、以下の法令に基づき、定期的に管理職への任用状況等を公表しています。
第六十一条の五 任命権者は、政令で定めるところにより、定期的に、及び内閣総理大臣の求めがある場合には随時、管理職への任用の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。
国家公務員法(昭和22年法律第120号)
第九条 法第六十一条の五第一項の規定による定期的な報告は、内閣総理大臣が定める事項について、毎年一回行うものとする。
幹部職員の任用等に関する政令(平成26年政令第191号)
この際に公表される内容には、国家Ⅰ種(国家総合職)の職員が、採用後初めて室長級ないし課長級の職に任用されるまでの期間についても含まれています。これは官庁ごとに個別に公表されるものですが、今回は、全官庁のホームページを一件ずつ見て回り、一つの表に整理することとしました。調査にあたっては、以下の基準に従うこととしました。
- 基本的に、調査時点で最新のデータを使用。
- 外局については、基本的に、独自採用を行っているものは個別に計上するが、そうでない場合には当該外局が属する本省に含む。(例えば、経済産業省の場合は特許庁は別個に計上し、資源エネルギー庁及び中小企業庁は経済産業省に含む。)
- ただし、国税庁については財務省分に含まれている。
調査の結果及びその考察
調査の結果は以下のとおりです。
このとおり、経済産業省が1位となっています。また、これに人事院及び会計検査院を含めた3つの官庁が、ナンバー3までを独占しています。そのほかに、室長級と課長級に昇任するタイミングがいずれも早い官庁としては、総務省や文部科学省を挙げることができそうです。
全体で見ると、以前は採用後17~18年目で室長級に昇任し、22~23年目で課長級に昇任するのが目安とされていたようですが、現在はそれよりも数年の遅れが生じているようです。
財務省において管理職に昇任するタイミングが比較的遅めであるのは意外でしたが、これは公表されている数字に国税庁の分も含んでいることによるのかもしれません。単純に財務省本省の採用者に絞ることができると、また違った様相を呈するのではないかという気もしています。
また、特許庁の結果は象徴的で、室長級に昇任するのは早い一方で、課長級への昇任には比較的時間を要することが分かります。これは、特許庁の独自採用している国家総合職がすべて技官であることに由来しているかもしれません。また、同庁は経済産業省の外局であり、その課長級ポストに本省出身者が充てられているaという可能性も考えられます。
まとめ
- 霞が関の全官庁のうち、最も管理職に早く昇任するのは経済産業省である。
- 人事院、会計検査院、総務省、文部科学省等がそれに続いている。
- 平均的には、採用後室長級に任用されるまで20.6年を、課長級に任用されるまで25.5年を要する。
最も出世が早い官庁が経済産業省であったことは、個人的にもイメージどおりでした。