「国家一般職の仕事は国家公務員の言いなり」、「だからやりがいもない」、「両方内定を持っているけど、自治体に行く」、これらはとある受験生の方がおっしゃっていたことです。「(国家一般職は)駒」なんて言葉も聞いたことがあります。
実際のところ、まったくそんなことはありません。
国家一般職にしかない強みもある
人事院の位置づけとして、総合職は主に政策立案や組織のマネジメントに携わるという建付けになっていて、表面上はそこが一般職との違いになっています。実際のところ、その点において乖離はなく、たしかに総合職は法制業務に全面的に携わりますし、早期に出世して幹部職員になります。
以上に関連する総合職の特徴として、異動が早いというものがあります。1~2年もすれば全く別の畑に移ったり、あるいは地方に出向したりします。これは、幹部を担うにあたって、多様な経験を養成させようという意図によるものです。一方の一般職は、総合職と比して異動のスパンはゆっくりとしています。この点こそが、組織における一般職の強みだと思っています。一般職は必然的に特定のプロジェクトに長く携わることになりますし、特定分野の専門性が蓄積されていきます。総合職がジェネラリストならば一般職はスペシャリストであり、この点において完全に差別化がされていますし、いずれも必要な存在です。本省、出先機関の別を問わず、一般職にしかない強み、やりがい、出来ない仕事があるということは是非知っておいていただきたいです。
それに、実際に仕事し出すと、門戸なんてまったく気にならなくなるものです。一緒に大きな案件を乗り越えたメンバーはそれから先もずっと仲間にように思えてくるものです。入口云々よりも、その先で、仕事とどう関わっていくかが大事です。
あまり綺麗事みたいなのは好きじゃないですが、冒頭のような質問を受けた時には、「そんなことは一切なくて、素晴らしい仕事なんだよ」ということをお伝えしています。だからといって、今の官僚制がすべて正しいものであるとも思っていませんが……。
待遇はそこまで大きく変わらない
そして、学生のうちはあまり意識されることは少ないかもしれませんが、本府省に採用される場合、国家総合職と国家一般職のいずれの試験種で採用された場合も、50歳くらいまでは給与に大きな差はありません。
国家総合職の場合は50歳くらいから課長級や審議官級以上に任用されることがありますので、その場合はここで大きく差がつきますが、そこから役職定年までそう長くないため、いずれにせよ生涯賃金は大きく変わらないといえます。
もっとも、どれくらいの金額を「大きな差」と感じるかは個人差があります。このサイトでは以下のような記事を作成していますので、興味のある方は以下から比較してみてください。