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公務員試験には筆記試験重視のものと面接試験重視のものがあります 【ランキング化】

公務員試験には、筆記試験重視のものと、面接試験重視のものがあるということをお話しします。今回は、国家・地方を問わず主要な試験種について、筆記試験と面接試験単体の倍率等を個別に調査しました。その結果をお伝えします。

なお、地方自治体の中には、そもそも筆記試験自体を撤廃し、SPIに置換したり、面接のみで採用者を決定したりする受験区分を設けているものもありますが、それらのような新しい区分は度外視することとします。本記事は、あくまで筆記試験が存在する試験種に焦点を当てた場合の、筆記試験と面接試験のウェイトを比較するという趣旨のものです。(実際に、多数の地方自治体においても、新区分が創設されているとはいえ、主流の方式は従来の「筆記試験+面接試験」の組み合わせによるものです。)

目次

筆記試験重視の試験種をランキング化

今回、独自に各試験種の倍率を調査した結果をまとめると以下の表が得られます。

集計上の注意点(押すと開きます。見たい方のみどうぞ。)
  • 特別区I類、国家一般職のように、筆記試験の中に論文試験を含むものがありますが、本稿では論文試験については広義の筆記試験に含むものとして、以上のようにカウントしています。
  • また、国家総合職のように2次試験に専門記述試験を含むものがありますが、これは面接試験単独の倍率を算定できない仕組みとなっているためです。ただ、専門記述試験の配点は低く、また標準偏差も小さいため実質的には面接試験の倍率と捉えて問題ないと考えます。
  • 辞退者数の扱いが異なるなどの理由で、「総倍率」は「1次試験等倍率」と「2次試験等倍率」の積とは一致しません。
  • 地方自治体等では、面接試験を2度以上実施することが一般的ですが、その場合には、すべての面接試験における倍率を通算したものを、「2次試験倍率」に計上しています。
  • すべて最終合格までの倍率を計上しています。国家公務員試験の官庁訪問、特別区I類の区面接等の倍率は公表されていないことから加味できないため、計算過程に含めていません。
  • 地方自治体のうち、大阪市のように主たる試験種の筆記試験がSPIに移行しているものや、京都市のように1次試験に筆記と面接の両方を含むものは算定が困難であるため、意図的に対象から除いています。

この結果の含意として、当該試験種における筆記試験のウェイトが高いということは、ある程度努力をもって合格可能性を引き上げることができるということです。

一方、筆記試験のウェイトが低い(面接試験のウェイトが高い)ということは、努力を重ねたとしても合格可能性はある程度のところで飽和してしまい、運の絡む要素が大きいということです。翻っていえば、努力量が少なかったとしても、ラッキーパンチで合格できる可能性は高いということになります。

なお、国家総合職については一応上表に掲載しましたが、今回は最終合格に至るまでの倍率により比較しているため、以上には官庁訪問の倍率を含みませんのでご注意ください。官庁訪問まで含めると「総倍率」や実質上の面接試験の難易度は跳ね上がります。(一方、国家一般職にも官庁訪問は存在しますが、どこかしらかは内定を得られる可能性が高いという意味で、筆記重視の試験に違いないと考えています。)

以下では、筆記試験重視のものと、面接試験重視ものに分けて、試験種をいくつかピックアップしていきます。

筆記試験重視の試験種

  • 国家総合職
  • 国家一般職
  • 財務専門官
  • 国税専門官
 国家総合職

国家総合職試験は、筆記試験に相当する部分と面接試験に相当する部分で比較をした際に、著しく前者の倍率が高くなるために、筆記試験重視の試験種であると言えます。特に受験者の多い法律区分は圧倒的です。官庁訪問の実際の倍率は2~4倍程度と推測できますが、それを加味してもなお、筆記試験の比率が大きいと言えます。そもそも難易度自体が高すぎるため、他の試験種と並べて比較することに若干の違和感があることは否めませんが…。

 国家一般職

国家一般職は、筆記試験の比重が大きい試験種の代表格です。2次試験(面接試験)の倍率はどの地域においても1.2倍程度で固定されており、ほぼ筆記試験で勝負が決まります。面接試験の倍率は固定されているため、地域による難易度の差異は、すべて筆記試験に現れる形になっています。また、標準点から推測するに面接試験においてはそもそも評価に差が付かず、恐らく8割以上が中央値のC以上の評価に収束しているはずであり、やはり国家一般職は筆記試験勝負の試験種といえます。

ちなみに、上表の筆記試験には論文試験を含んでいますが、論文試験については面接試験以上に差が付かない試験で、足切りの制度もありますが該当者はほぼ存在しないものとなっているため、実際には多肢選択式試験により合否が左右されることとなります。詳細は次の記事をご覧ください。

 財務専門官・国税専門官

財務専門官と国税専門は、いずれも、やや筆記試験の比重が大きい試験種です。また、いずれも専門記述試験が課されますが、やはり重要なのは多肢選択式試験です。とはいえ、国家一般職試験の一般論文試験とは異なり、専門記述式試験の対策自体は必要です。

面接試験重視:特別区I類

  • 県庁
  • 政令市
  • 特別区
  • 労働基準監督官
 県庁・政令市

県庁と政令市(いわゆる地方上級)は、全体の傾向として、筆記試験のウェイトが小さく、面接試験重視となっています。また、国家一般職試験等では最終合格に至るための面接試験の回数は1回のみですが、地方上級では2~3回実施するところがほとんどです。

更に、国家公務員試験とは異なり、面接試験の合否判定においては筆記試験の評価を加味しない方式(いわゆるリセット方式)を採用している自治体も多くあります。

なお、あくまで全体の傾向として面接試験重視のところが多いのですが、結局は当該自治体の人事行政の方針によるため、例えば京都府のように、著しく倍率が筆記試験に偏っているところもあります。

 特別区

特別区については、最近の試験結果に基づくと、やや面接重視であると言えます。上表においては、比較的面接試験のウェイトが高めである程度ですが、一応、最終合格した後には各区において「区面接」も実施されます。(ただ、区面接は内定を得られるまで幾重にも渡ってチャンスがあるので、最終合格さえ果たせば内定漏れは基本的には無いことには変わりありませんが。)

面白いのは、過去の傾向と比較すると、構造に変動が見られることです。今回の調査においては直近の年度の試験結果を基にしていますが、特別区Ⅰ類試験は、かつては総じて難易度(総倍率)が高かったものの、最近になり急激に易化しています。何年度か前まで遡ると総倍率は5~8倍程度で推移していたところ、直近の総倍率はわずか2.5倍程度です。また、かつては筆記試験の倍率が3倍程度、面接試験の倍率が2倍程度であったため、筆記試験重視の試験でした。経年による総倍率の低下を受けても面接の倍率は変動させず、毎年筆記試験の倍率を低くしてきたため、時代の変遷とともに徐々に面接重視の試験へシフトしてきた珍しい試験種です。

 労働基準監督官

労働基準監督官は、国家公務員試験の中では特異的で、面接試験の比重が極めて高いです。筆記試験の倍率は1.2倍を割っており、筆記試験受験者の80%以上が通過していることになります。さらに、おそらく国家系の試験の中で唯一面接試験においてリセット方式を採用していることも、労働基準監督官試験が面接重視であることの証左の1つです。

まとめ

  • 筆記試験重視の試験種には、国家総合職、国家一般職、財務専門官、国税専門官等が挙げられる。
  • 面接試験重視の試験種には、県庁、政令市、特別区、労働基準監督官等が挙げられる。

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