公務員試験が終わりかける時期になるとよく頂く質問として、「公務員の勤務中のオシャレ(格好)はどこまで大丈夫なのか」といった旨の質問があります。その辺りの空気感について、実際のところをお伝えします。
なお、私は地方公務員と国家公務員を両方経験していますが、両者の間に特に違いを感じたことはありません。
髪色
女性の場合
髪色については基本的に自由です。女性であれば茶髪の方が多いのは言うまでもありませんが、中には金髪に近い明るめのカラーを楽しんでらっしゃる職員もいます。当然、上司に許可を取る必要もありません。
男性の場合
また、男性でも茶髪くらいの方であれば少数ですが見かけます。当然上司から注意されるようなこともありませんが、かなり少数派なのは間違いないです。
ただ、男女問わず、結局は仕事ができるかどうかが大事です。私が在職していた頃、おしゃれで年中茶髪の男性の先輩がいましたが、勤務態度は極めて真面目で、後輩にも気配りしてくださる、本当に尊敬できる方でした。
ピアス等のアクセサリー
女性の場合
ピアスやイヤリング、ネックレスについては、女性であれば華美なものでなければ身に着けている方は沢山いらっしゃいます。ワンポイントのスタッドピアスなら普通にみかけます、ただし、チェーンピアスのような揺れるタイプは、チェーン部分が短いものが無難です。
たとえば、以下の写真ような長めなタイプのものは、煌びやかではありますが、公務員の職場ではあまり見かけたことはありませんでした。

一方で、以下のような写真は公務員の職場でも身に着けている方が大勢いらっしゃる印象です。

男性の場合
男性の場合では、私の周りでは勤務中にピアスを着けている職員は見かけませんでした。ちなみに、ピアスの穴が空いていると公務員試験に受からないといった言説が流れてくることがありますが、そんなことは全くありません。公務員であっても休日中の行動は信用失墜行為にあたらない限り基本的に自由ですので、ピアスなどのファッションを楽しむことは可能です。もちろん職場で咎められるようなこともありません。
一方で、男性の場合、結婚指輪を除くアクセサリーを身に着けている職員はあまり見かけません。稀ですが、シャツの下にネックレスをしている方は見かけたことがあるくらいでしょうか。
入れ墨(タトゥー)
実際に頂いたことがある質問として、「入れ墨(タトゥー)が身体に入っていても公務員になれますか」というものがあります。真剣に考えたのですが、一概に答えを出すのが難しい問いだと思います。
公務員は信用失墜行為の禁止等の義務を負うほか、法令で「政府を、暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」は欠格条項に該当することから公務に就くことができないとされています。入れ墨が入っていることはこれらに該当するものではありませんが、面接官や現職の公務員の立場からすれば、これらを連想させるものであることには違いありません。
一方で、公務員も一人の人間であり、表現の自由を含めた基本的人権を享有する主体なのですから、個人の格好やファッションを一義的な理由として採用試験の合否や人事評価等を決定することには問題があるという見方もできます。憲法13条(幸福追求権)に由来する自己決定権の一つであるとも考えられるからです。
以上は法的な話ですが、それを踏まえて、事実的にはどうでしょうか。これは個人の私見に過ぎませんが、入れ墨が入っていることが面接試験等の場で明らかになれば、合格する可能性は極端に低くなると考えます。公務員は上述のとおり複数の義務を負う身分であるほか、住民・国民と対面する業務に従事する機会も多いです。面接官や採用決定権者の立場からすれば、やはり懸念を払拭し切れない要素になり得るのではないでしょうか。
大阪市の事例
参考になるのは、橋下徹さんが市長を務められていた時の大阪市の事例です。当時の大阪市では、市職員が入れ墨を入れているのは望ましくないとして、全職員にタトゥーが入っているかの調査(以下、「入れ墨調査」という。)が行われました。入れ墨を入れていることが判明した職員や、入れ墨調査を拒んだ職員に対して、減給や戒告の懲戒処分が科されました。その後、調査を拒んだ市職員2人が処分の取消しなどを求めて訴訟を提起するという事案に発展しました。全国的に見ても極めて珍しい事例です。
この事案は、最終的に原告(市職員)が上告して、最高裁にて争われました。最高裁第二小法廷は、このような調査は職員のプライバシーを侵害することのないよう慎重に行われるべきなどとした一方で、大阪市の懲戒処分は適法であるとして、原告の訴えを退けました。
まとめ
勤務時間中の公務員のファッションについて、まとめると以下のようになります。
- 女性職員の髪色は基本的に自由が利く。
- 男性職員で茶髪の男性も中にはいる。
- 女性職員のアクセサリは華美でなければ自由が利く。
- 男性職員で結婚指輪以外のアクセサリをしている職員は見かけない。ただしピアスの穴を開けている職員はいる。
- 職員の入れ墨には賛否があり、最高裁で争われた事例もある。