公務員は、国家公務員、地方公務員を問わず、毎月の給与から「長期掛金」「短期掛金」(あるいは「長期保険料」「短期保険料」)というものが天引きされています。
聞き馴染みの無い言葉ですので、初任給を受け取った新規採用職員の方にとっては疑問に思う方も多いはずです。
この記事では、国家公務員や地方公務員の「長期掛金」「短期掛金」について解説します。誰にでも読みやすいように平易な内容としております。
長期掛金・短期掛金は公務員の「社会保険料」
公務員の給与明細に出てくる「長期掛金」「短期掛金」は、共済組合制度に基づく社会保険料のことです。
国家公務員・地方公務員ともに、共済組合に加入しており、そこに支払う掛金が給与から天引きされています。民間企業の場合でしたら、その会社が独自で持っている健康保険組合や「協会けんぽ」等に加入する一方、公務員の場合は、「共済組合」に加入することになります。
例えば、国土交通省の職員(国家公務員)であれば「国土交通省共済組合」に加入することになります。地方公務員の例として、東京都庁の職員や特別区の職員は「東京都職員共済組合」に加入することになります。
これら共済組合は(労働組合とは異なり、)職員である限り必ず加入することになります。
身に覚えが無いまま、全職員がいつの間にか当然に加入しているというのが共済組合です。日本は「国民皆保険」だからです。
共済組合は、年金、医療保険、介護保険といった社会保険のサービスのため、職員から保険料(長期掛金・短期掛金)を徴収しているのです。
「長期掛金」「短期掛金」がそれぞれ社会保険の保険料であるとして、この二つの違いは何でしょうか。以下では、より具体的に、それぞれの中身を解説していきます。
長期掛金とは
公務員の給与から天引きされる長期掛金とは、年金に関する保険料部分のことです。民間でいう年金保険料に相当します。
公務員が貰うことのできる「年金」として最もイメージしやすいのは、65歳(原則)からもらうことのできる老齢厚生年金です。かつて公務員の年金は共済年金と呼ばれていましたが、現在は会社員に適用される厚生年金と一本化されています。
その他、障害者になった場合に一定の要件を満たすことで受給できる障害厚生年金等についても、長期掛金の保険料によって賄われています。
これらの厚生年金のほか、国民年金の保険料についても、公務員の場合はこの長期掛金の一部として徴収されています。
また、あまり認知されていませんが、公務員には「年金払い退職給付」というものがあります。日本の年金制度のうち、1階部分に当たるのが国民年金、2階部分に当たるのが厚生年金ですが、その上の3階部分に当たるものとして、民間企業であれば、大企業等では独自の企業年金があるわけです。
公務員の場合、実はこの企業年金に相当するようなものとして、「年金払い退職給付」という制度があり、多くの公務員が対象になっています。
この保険料も、長期掛金によって拠出されているということになります。
短期掛金とは
続いて、短期掛金について説明します。
短期掛金は、民間でいう医療保険料、健康保険料に相当するものです。
たとえば、公務員が病院にかかった際に、病院の窓口で支払う自己負担割合は3割(多くの場合)になるところ、残りの7割は、この保険料によって公費で賄われるというわけです。
そのほか、1か月の医療費が高額になった場合に支給を受けることができる「一時払戻金(高額療養費)」や、病休で休職せざるを得なくなり、更に給料も貰えなくなった場合に給料の代わりに貰える「傷病手当金」等についても、この短期掛金によって運用されています。
更に、40歳以上の方の場合、介護保険料(に相当する金額)も短期掛金として徴収されます。
長期掛金・短期掛金の金額はどのように決定されるか
長期掛金・短期掛金の金額は、基本的に、給与が大きいほど大きくなります。
具体的には、毎年夏頃に、各職員の「標準報酬月額」が決定され、この標準表集月額に応じて、長期掛金・短期掛金の金額が決定されます。
場合によって徴収されるもの
長期掛金・短期掛金は、公務員である限り必ず徴収されると上述しました。一方で、公務員の中でも、本人が希望した場合に限り徴収されるものもあります。
たとえば、公務員が希望した場合に団体保険の保険料や、財形貯蓄や共済積立、iDeCo等の積立金の類です。
そのほか、労働組合に加入する場合は、労働組合の組合費についても、毎月の給与から天引きされることが多いです。
官舎に住む場合も、毎月の給与から官舎費が差し引かれることが一般的です。
雇用保険料は長期掛金・短期掛金に含まれない
社会保険制度のうち、民間企業の勤務者には適用されるが、公務員には適用されないものもあります。それは雇用保険です。
公務員の場合、民間企業とは異なり、雇用保険が適用されないという特徴があります。
退職時に受け取ることのできる退職手当が、雇用保険の給付の代わりの役割を担っていると考えるため、このような仕組みとなっています。
したがって、雇用保険料も、当然に公務員の給与からは天引きされていないということになります。
まとめ
最後に、長期掛金・短期掛金の違いについて、以下のとおり一覧しました。
| 長期掛金 | 短期掛金 | |
| 主な目的 | 年金 | 医療 |
| 民間で言うところの | 厚生年金、国民年金保険料 | 健康保険料、介護保険料 |
| 給付時期 | 老後 障害者となった場合等 | 通院、休職、出産等随時 |
| 掛金額 | 給与に応じて増減 | |
今回は、主に新規採用職員の方や、民間企業から公務員に転職した方に向けて作成した記事です。少しでもこの記事が皆様の一助となれば幸いです。

