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特別区職員として最も出世しやすい区はどこか【千代田区、中央区等】

23区の職員について、実は区によって出世のしやすさ、すなわち管理職の割合に隔たりがあることはご存じでしょうか。今回、各区の管理職の割合を調査しましたので、記事を作成しました。

目次

調査方法

特別区においては、地方公務員法第58条の3第2項において、級(職層)別の職員数の数を公表することが義務付けられています。

第五十八条の三 任命権者は、第二十五条第四項に規定する等級及び職員の職の属する職制上の段階ごとに、職員の数を、毎年、地方公共団体の長に報告しなければならない。

 地方公共団体の長は、毎年、前項の規定による報告を取りまとめ、公表しなければならない。

地方公務員法

今回は、以上に基づき各区によって公表されている級別の職員数を、全区について調査し、表に落とし込むこととしました。なお、基準日は調査時時点で最新のもので統一しました。

かつを

23区のHPを一つずつ見て回って、全て手作業で集計したので、大変でした…。

調査結果

結果は以下のとおりです。


以上です。この結果から読み取れることを下述していきます。

千代田区、中央区、大田区、江東区は管理職の割合が大きい

最も管理職の割合が高いのは千代田区で、全行政系職員のうち管理職ポストが8.8%を占めるという結果でした。次いで、中央区(7%)、大田区及び江東区(ともに6.9%)が続きます。

千代田区、中央区と財政状況の良い区がツートップとなっていますが、港区は中位に位置しているなどしているため、必ずしも区の財政状況と相関があるわけではなさそうです。

練馬区、板橋区、杉並区等で管理職の割合が小さい

一方、最も割合が低いのは練馬区(2.4%)という結果で、区によって管理職ポストの数、割合に大きな乖離が見られることが分かります。ほかには、板橋区(3%)、杉並区(3.3%)等で管理職の割合が小さくなっています。

特別区の人事制度は特人厚(特別区人事・厚生事務組合)や特別区人事委員会によってある程度集権的に決定されるという特徴があるため、どの区においても基本的には同一の人事制度を採っていることになります。例えば人事に関する条例を改正する際にも、特人厚から各区に対して「準則」を提供し、それに基づいて各区が足並みを揃えて改正を行う形を採っているのです。しかし、この統一的な制度の中で、具体的にどの程度の人数を管理職として任用するかといった具体的な運用は各区の裁量に委ねられており、以上のような差異を見ることができるということです。

給与との関係

さらにいうと、同様の理由で給与制度についても基本的にはどの区においても同じ法令(条例・規則)が敷かれているところ、このように管理職の割合に差異があることによって、職員の給与にも差がついているということができるでしょう。特別区間の給与の乖離は、主に各区の管理職の割合に起因していると言えるのです。

かつを

職員の給与については色々な捉え方ができますが、個人的には、以上の理由から、23区で総合的に給与が最も高いのは千代田区だと考えられます。

受験の段階でキャリアパスを参考にするのもアリ

受験生の立場からすれば、以上のことはあまり気にしない方も多いです。もちろん、一義的には各区の業務内容や、どの区に魅力を感じるかによって志望する区を決めるべきです。しかし、採用後のミスマッチを防ぐためにも、採用後のキャリアパス等も踏まえ、志望区をどこにするかについて熟慮すべきです。

特に、特別区職員として採用されたあとは、基本的に他の区に移るということはできませんので、実は、特別区の受験者は一生を左右し得る選択を受験の段階で強いられています。

特別区職員の任命権者は各区の区長です。任命権者を跨ぐ人事異動は地方公務員法の想定するものではありません。特別な理由があれば人事交換制度によって他の区に移るということも不可能ではありますが、現実的ではありません。

まとめ

今回は、23区における行政系職員の級別職員割合について調査し、その結果として、以下の含意を得られました。

  • 23区の中で行政系職員の管理職の割合が最も高い(最も出世し易い)のは千代田区である。
  • 管理職の占める割合は23区内における各区において乖離がある。

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