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【市役所・特別区】自治体職員のおすすめの住み方は?賃貸?官舎?借上住宅?実家?

今回は公務員試験ではなく、ゆるいコラムです。自治体職員として採用された場合に、住み方として考えられるのは次の四つのパターンです。

  • 賃貸物件を借りる(自治体内・外)
  • 官舎に住む(自治体内)
  • 借上住宅に住む(自治体内)
  • 実家に住む(自治体内・外)

この記事では、この四つについて、家賃、通勤事情、プライベートなどの観点に基づいて紹介していきます。

目次

民間賃貸物件を借りる

たとえば新卒入庁者の割合で最も多いのはこのパターンではないでしょうか。私は新卒の際には特別区Ⅰ類の職員として採用されましたが、賃貸物件に住んでいる同期が5割程度だったかと記憶しています。賃貸物件を借りることのメリットは次のとおりです。

  • (当該自治体の場合、)通勤時間が短くて済む
  • (当該自治体の場合、)プライベートを確保できる
  • 社会人として自立した生活を送ることができる
  • 友人を家に招くことができる
  • 住居手当の支給があるので、額面上は給与が高く見える
  • 間取り、築年数、設備等の条件を自ら選択できる

最も重要なのは、勤務地の近くに住むことができれば、通勤時間を大きく短縮できるということです。区域の小さい自治体ほどこの利益を享受しやすいですね。筆者は自転車で10分以内に通えるところに住んでいたことがありますが、とても快適に過ごすことができていました。仕事が終わってからの自由時間を多く確保することができますし、朝もゆっくり寝ていられます。QOLのみならず健康状態にもプラスの影響があると感じます。

続いて、賃貸物件を借りることによるデメリットは次のとおりです。

  • すべての居住形態の中で、家賃・光熱費は最も高めになる
  • (特に当該自治体の場合、)住民に遭う可能性がある
  • (特に当該自治体の場合、)地域防災の訓練や有意の出動の必要が生じる
  • (特に当該自治体の場合、)通勤時間に大きな時間を割く必要がある

デメリットは、最も大きいのは可処分所得が逼迫されるということですね。特別区Ⅰ類なら、1Kのアパートでも平均でも一月あたり8万円程度が必要です。住居手当の支給を加味しても毎月5万円以上かかります。

また、自治体特有のデメリットとなり得るのは、休日等に住民に遭う可能性があるということです。特に生活保護課のケースワーカーや税務課の滞納担当等のハードな内容の仕事を担う場合には、休みの日に住民には遭いたくないという心情を抱くことは多いと思います。もちろん、配属された課において、自身の生活圏は担当する地域から除外するなどの配慮はされるはずですが、それも万全ではありません。実際に私も職住近接でありながらケースワーカーをしていましたが、休みの日に自分の担当している被保護世帯の方を見かけるということがありました。

もう一つ、自治体特有のデメリットになり得るものとして、土日に地域防災の訓練のイベントがある場合にはそれに参加する必要が生じたり、災害発生時には24時間問わず出動する必要が生じるというものがあります。

官舎に住む

続いて、その自治体が管理している官舎に住むというものです。基本的には当該自治体の区域内に住むことになります。ちなみに、「官舎」と「借上住宅」は異なるものです。「官舎」は、地方自治法上の公有財産であり、当該自治体職員を住まわせるために、自治体が所有・管理している物件です。「官舎」では、その物件におけるすべての住人が、当該自治体の職員ということになります。官舎に住む場合のメリットとして、次のことが挙げられます。

  • 賃貸や借上住宅よりも家賃が低額である
  • 光熱費も低額な場合がある
  • 他の職員と仲良くなりやすい(人によってはデメリット?)

何よりのメリットは、安く居住することができるという点に尽きると思います。また、見落とされがちですが、民間賃貸や借上住宅に住まう場合と異なり、居住者の職員全体で光熱費を折半するという形を採る場合には、その分光熱費も抑えることができるということになります。

  • 隣人がすべて同じ自治体の職員になるため、プライベートを気にする場合は向かない
  • 官舎に居住するすべての職員に対して防災関係のイベントへの参加を求められる場合も
  • 住民に遭う可能性がある
  • 防災拠点として指定されており、講習の受講を求められる場合も
  • 住環境の選択の余地が小さい
  • 年齢や世帯人数等の要件がある場合がある

官舎の最大の特徴は、居住者が全員当該自治体の職員になるため、プライベートを重視する方にとっては大きなデメリットになり得ます。ただこれは人によってはメリットにもなり得ますね。

民間賃貸で勤務地の近くに住む場合や、借上住宅に住む場合と同じですが、特別区や一般市のように区域の小さい自治体の場合には、住民に遭う可能性があるというデメリットもあります。

また、自治体にもよりますが、基本的には官舎の床数は多くはないので、自治体によっては官舎がすべて老朽化してしまっているというところもあります。民主党政権下に国家公務員の官舎はかなりバッシングを受けたことがありますが、自治体においてもその名残があるところがあります。ともかく、住環境の選択の余地は小さくなるので、事前にどのような条件になるかを所管する課に確認しておくとよいです。

借上住宅に住む

「官舎」と混同されがちですが、「借上住宅」というものがあります。「借上住宅」は、当該自治体が民間賃貸の貸主が賃貸借契約を結んで物件を借り受けた上で、それを職員に供用(使用)させるというものです。費用については、自治体にもよりますが、「本来の家賃の半額を自治体は負担し、残り半額を職員が負担する」といったパターンが最も多いように思えます。官舎よりは職員本人の負担が大きくなりがちですが、自身で民間賃貸を契約するよりは低額で済むことが多いです。借上住宅に住まう場合のメリットは次のとおりです。

  • 自身で賃貸を契約するよりは家賃が低額である
  • 他の職員と仲良くなりやすい(人によってはデメリット?)

光熱費等については、官舎と異なり、完全に自己負担となります。家賃や光熱費等を総合的に考えると、居住関係の費用が大きいのは、「民間賃貸」、「借上住宅」、「官舎」の順になるかと思います。

また、メリットという点で官舎に勝るのは、借上住宅は分譲のものであれば特定の物件の部屋ごとに賃貸借契約をしているため、隣人は基本的に職員ではなく、まったく知らない人であることが多いということです。(ただし、自治体によってはある程度まとめて同じ物件内の複数の部屋を借り受けている場合があるので、100%とは言えません。)休日は人間関係においても仕事から解放されたいと考える人にとっては、官舎よりもメリットが大きいと言えます。

デメリットについては以下のとおりです。おおむね官舎の場合と同じとなりますね。

  • 住民に遭う可能性がある
  • 防災拠点として指定されており、講習の受講を求められる場合も
  • 住環境の選択の余地が小さい
  • 年齢や世帯人数等の要件がある場合がある

実家に住む

最後に、実家に住む場合のメリットについて見ていきます。

  • すべての居住形態の中で、圧倒的に費用が安い
  • (世帯構成にもよるが、)家事の負担も小さい

とにかく圧倒的に金銭的なコストパフォーマンスには優れますね。親にお金を入れずに実家に住む場合にはそもそも家賃・光熱費は0円で済みますし、食費でさえもかからないということもあり得ます。実家住まいの場合には、本当に貯金はもの凄いスピードで増えていくと思います。

デメリットとしては、以下のものが考えられます。

  • (場所によっては、)通勤時間が大きい
  • 社会人としての自立感は小さい

まず、特に都心部の自治体の場合には、実家が勤務地から離れた場所にあることが多いので、通勤時間が大きくなりがちです。また、社会人として自立している感覚は小さくなってしまいます。とはいえ、新卒で自治体に入庁した場合には、そこそこの割合で実家住まいの方はいらっしゃいますので、そこまで気にすることでもないかもしれませんし、ここは自身の価値観と照らしてどのように考えるかという点だと思います。数年間は実家に暮らしてから、引っ越しのお金が貯まったら民間賃貸を借りて一人暮らしを始めるという人も多いですね。

かつを

私の新卒時の同期の場合には、実家に住んでいるのは3割程度だったと記憶しています。

官舎・借上住宅については、年齢要件を要チェック

最後に、官舎や借上住宅については、自治体によって年齢等に要件を設けていることが多いですので、必ずチェックしておくことをお勧めします。

たとえば、特別区なんかでは、年齢を重ねると住宅手当支給額が引き下げられるという制度設計になっている一方で、官舎についても単身の場合には入居開始時の年齢制限(たとえば30歳頃等)を設けている場合があります。このような場合には、金銭的な点だけを考えれば、「住宅手当の引き下げが始まる、または官舎に入居開始できるギリギリの年齢までは民間賃貸に住んだのち、官舎に入る」といった戦略が最もお得ということになりますね。

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