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【特別区(23区)職員】の昇格の所要年数のモデル【キャリアパス例】

この記事では、元特別区Ⅰ類職員の筆者が、特別職員は何年くらいで昇格していくのか、そのキャリアパスについて紹介します。

なお、特別区にはいくつか試験種がありますが、その中で最もボリュームがある「特別区Ⅰ類」の区分で採用された場合のキャリアパスについて解説します。

目次

特別区Ⅰ類職員は人によって異なる

このサイトでは、以前、以下の記事のように国家総合職や国家一般職の昇格のモデル年数について解説しました。

しかし、注意しなければならないのは、特別区職員の場合、人によってキャリアパスが大きく異なるということです。特別区職員の基本的なキャリアパスは、「係員→主任→係長→統括係長→課長→部長」ですが、職員の能力や希望によって大きく乖離があります。国家総合職であれば本省室長級くらいまで、国家一般職であれば本府省課長補佐くらいまでは横並びで昇格していきますが、特別区職員は、同じⅠ類の採用者であっても、かなりキャリアパスに乖離があります。

特別区Ⅰ類職員は、最終的に主任級や係長級で定年を迎えるケースが多数派です。一方で、キャリア志向の方は、昇任試験を受けてトントン拍子に出生していくのです。極端に言えば、このように二分化する傾向にあります。そこで、この記事では、「主任級で定年を迎える場合」と、「出世を繰り返して部長級で定年を迎える場合」の二つのパターンに分けて紹介していきます。

パターン① 主任級で定年を迎える場合(多数派)

まずは、主任級で定年を迎える場合です。

採用1年目:係員級として採用

特別区Ⅰ類として採用された場合は、すべからく係員級(1級)として採用されます。給料表でいうと1級です。

一方、社会人経験者枠として採用された場合は主任級(2級)等で採用されることもあり得ますね。

採用6~25年目:主任級へ昇格

その後、主任級(2級)に昇格するタイミングは人によって様々です。主任級への昇任選考は、採用後5年目に行われます。合格率はだいたい30%くらいですので、一発合格すれば採用6年目の4月に主任級に上がります。また、一発合格した人でも、キャリア志向でなければその後は一切昇格せず、主任級のまま退職していくという人も多いです。係長級に上がれないのではなく、職責や待遇を考慮して上がりたくないという人がかなり多いのが実態です。

係員級と主任級の仕事ははっきり言って一緒です。一方で、係長級に上がった途端に部下を持つことになり、責任が大きくなるために、敬遠されがちなのです。

主任級職選考の内容は区によって異なりますが、「多肢選択式、論文、面接」の三つを軸にしているところが多いです。しかし、多肢選択式試験等は如実に学力が合否に関わるため、人によってはずっと選考に合格できないということもありえます。(誤解を恐れずに言えば、)その救済措置のような形で、採用後10年目や20年目以降になっても係員級のままでいる場合は、論文や面接のみで選考を受けることができるという選考枠が設けられていることが多いです。

したがって、いくら遅い人でも、だいたい採用後25年目くらいには主任級に上がっていることが多いです。

パターン② 出世を繰り返して部長級で定年を迎える場合

続いて、早期に出世を繰り返してキャリアを歩んでいくパターンを紹介します。

採用1年目:係員級として採用

上述のとおり、まずは係員級(1級)として採用されます。

採用6~10年目:主任級へ昇格

その後、採用6~10年目くらいで主任級(2級)に昇格します。年齢でいえば30歳前後です。自治体職員として出世したい場合は、とにかく早く先に駒を進めた方が有利です。特に「課長級→部長級」のタイミングでは、課長級を長く経験した人から、年功序列的に、順番に部長に昇格させる雰囲気があるためです。

したがって、最終的に部長級に到達するような人の場合、遅くとも受験資格を得てから5年以内くらいには主任級職選考に合格することが多いです。

採用10~16年目:係長級(係長又は主査)へ昇格

主任級を5年ほど経験したのち、係長級(3級)へ昇格します。年齢でいえば35歳前後です。政令市等では係長級職昇任選考において筆記試験等が課されることが多いですが、特別区の場合はそういった類のものはありません。5年程度の主任級職の勤務歴があって、勤務成績が悪くなければ、本人が希望すればまず係長級に上がることができます。

また、早いひとだと30代中盤で係長に上がりますが、特別区全体では主任級で定年を迎える人が多数派のため、このようなケースでは、自分より年上の人を部下として抱えることになります。

採用13~21年目:統括係長級(統括係長又は課長補佐)へ昇格

係長級を何年か経験したのち、統括係長級(4級)に昇格します。年齢でいうと35~45歳くらいです。ハイスピードでキャリアを歩んでいる人であれば、採用後13~21年目くらいには統括係長級になります。

なお、主任級の間に受けられる管理職試験(いわゆる「前倒し試験」)に合格することができた場合は、係長級や統括係長級に在職している期間を短縮して、早期に課長級に進むことができます。

係長級と統括係長級の実務上の違いについてですが、基本的には係員や主任をマネジメントして係の事務を総括するという点は同じです。ただ、統括係長は、係の中でも重要性の高いところに配属されています。たとえば、人事課人事係の係長や、財政課の係長等は統括係長であることが多いです。

採用15~25年目:課長級に昇格

統括係長級を何年か経験したのち、管理職選考をパスしていれば課長級(5級)に上がることができます。早い人だと採用15~25年目くらいのタイミングになります。年齢でいうと38~48歳くらいです。特別区の昇任選考において、実力重視なのは主任級職選考と、この管理職選考です。管理職選考の合格率は区にもよりますが30%程度です。

一方、係長級職選考は実体があまり無いものになっていますし、課長級から部長級への昇格は、玉突き式に、課長級の経験年数が長い人から上がっていくことが多いです。ですので、とにかく早く、若い間に課長級に上がることが重要になります。実際には50歳くらいで課長級に上がる人が多いため、このモデルのように40代のうちに課長級に上がっておけば、高い確率で定年までに部長級に上がることができます。

ちなみに、課長級からは管理職手当の支給があります。特別区の給与体系は、管理職手当の金額が著しく高く設定されているため、このタイミングから給与が跳ね上がることになります。なお、特別区Ⅰ類職員の給与については、以下の記事に詳しいです。

採用25年目以降:部長級(部長又は参事等)に昇格

以上のようにハイスピードで駒を進めた人が、採用後25年目以降に、部長級(6級)に到達することになります。年齢でいうと、最も早い人で40代後半から50歳くらいです。

特に、部長の中でも政策課、財政課、人事課、総務課を所掌する部の部長の方が職責が大きいという風潮があります。50歳くらいまでに部長になった人は、50代後半くらいでこれらの重要な部長ポストに就いた後、教育長や副区長に任用されるチャンスがあります。

なお、余談ですが、課長級や部長級を経験して退職する場合は、区内の社会福祉法人、社会福祉協議会、医師会等に再就職する場合もあります。

まとめ

以上です。内容をまとめると以下のようになります。

  • 特別区Ⅰ類では、主任級や係長級で定年を迎える人が多い。
  • キャリア志向の人の場合は、30歳前後で主任、35歳前後で係長、35~40歳で統括係長、38~48歳で課長、50歳以降で部長に昇格する。
  • 主任級職選考と管理職選考は実力主義
  • 主任級から係長級へは、条件を満たした上で希望すれば上がれることが多い。
  • 課長級から部長級では年功順に上がっていくことが多い。

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