公務員試験対策は基本的に孤独な作業です。たとえ予備校に通っていたとしても、勉強の主軸となるのは1人で過去問集を解き進めることにあります。1人で勉強を続けていると、モチベーションを損なうこともあると思います。そんな方にお伝えしたいことがありますので、この記事を作成しました。
ちなみに、今回は普段のようにデータや数字は用いません。主観に基づいた意見、精神論的なことをお伝えする記事ですので、曖昧な主張となることはご容赦ください。
「勉強しても受かる保証がない」?
そもそも公務員試験において勉強をする意義とは何でしょうか。これはある受験生の方の言葉ですが、「勉強してもどうせ受かる保証がないから、やる気がでない。」ということを聞いたことがあります。公務員試験の勉強をする一義的な理由は試験に合格するために違いありませんが、大きな労力を投入してもそれが結実する保証がないのであれば、モチベーションが維持できないというのも理解できます。
私は、公務員試験における試験対策とは、「合格可能性を最大化する作業」だと考えています。勉強をすればするほど合格する可能性は高くなりますが、絶対に合格できるということはありません。特に面接試験においてはそれが顕著です。筆記試験はある程度努力が結果に反映されてきますが、教養試験のウェイトが大きい試験種ほど運が大きく絡みます。
公務員試験は、運、縁、相性、偶然、そういった不確かな要素がつきまとうものです。あまり考えたくないことですが、不合格になった時のことをイメージしてみてください。その場合に、万全の対策を尽くしたにもかかわらず不合格となったのであれば、「やることはやったが運がなかっただけ」とある程度納得できると思います。また、再チャレンジするかどうかについての検討も行いやすいです。しかし、不合格になった理由が「自身の努力が至らなかったこと」というのは、後悔が尽きませんし、納得できないのではないでしょうか。
私は受験生として初めて公務員試験を受けた時には、第一志望の試験にのみ不合格となっています。地方上級の最終面接でした。今振り返ればそれも良い経験だったと思えるのは、万全の対策を経て試験に臨んでいたからだと思います。
公務員試験には「絶対」はあり得ません。それでも、自身が納得する結末を迎えるために、人事を尽くして天命を待つのです。
「自分には勉強が向いていない」?
とはいえ、基本的には公務員試験は努力が反映される試験です。最後まで諦めずに続けた方はどこかしらから内定を得ている人が多いです。特に辛いのは、過去問集の1〜2週目を解き進めている頃だと思います。この段階で「自分には向いていない」と思い悩んで、民間就活に切り替えてしまう方も多いです。しかし、結果がついてくるのはその後です。過去問集の3週目以降では、二次関数的に、急激に知識が定着してくるはずですので、諦めずに努力を継続していただきたいです。
「試験勉強は公務員としては役に立たない」?
こんな声も聞いたことがあります。たしかに、公務員試験の勉強は公務員としての実務に直結するものではありません。たとえば、現職の公務員の公務員試験の問題を解かせたら、ほとんどの職員は合格水準に至らないはずです。公務員の仕事は基本的に入庁後の研修やOJTで学ぶものですので、公務員試験勉強は業務において直接的には役立ちません。
しかし、公務員試験科目の専門科目について、その理論を学んでおくことは公務員として間接的には有益なことです。特に、憲法、行政法、経済学、行政学等は、いわば公務員の教養としては必要な知識です。
公務員の仕事は、すべてアカデミックな理論に裏打ちされているものです。例えば公共事業、特に一般道の整備について考えてみます。一般道路(国道・県道等)は経済理論における純粋公共財に該当するもので、市場に任せては最適な資源配分が達成されないと考えられていることから、民間主体ではなく公務員がその役割を担っているものです。また、公正取引委員会の業務についても、パレート最適の桎梏となる独占・寡占を排除するというものですから、その意義は最適な資源配分の達成という点に求められます。
では、福祉部門、とりわけ生活保護についてはどうでしょうか。政府介入が小さいほど資源効率が最大化に近づくことは古典経済学の常識ですが、不就労者に給付を行うというのは、ある種最も経済非効率的な行為です。それでも生活保護行政を始めとした社会保険給付は必要なもので、これは政府の所得再分配機能に裏付けられているものだと考えられます。また、生活保護行政の法体系は、最上位の法規として憲法第25条があります。(同条の趣旨については「プログラム規定説」等の学説の展開がありますね。)そして、それに次ぐ形で個別法としての生活保護法があり、更にその下位の法規として厚生労働省令、通達等が挙げられます。公務員の仕事にはすべて法的根拠がありますので、法学の基礎的知識は、こういった法体系の全貌を理解する上で役に立ちます。
また、何より、役人は一生勉強を繰り返すものです。中央省庁を含め、ほとんどの役所においては、数年に一度のスパンでの異動を前提としています。そして、異動のたび、限られた時間の中で新しい業務について学び直すという作業が必要となります。公務員試験は、その縮図、シミュレーションであるとも捉えられます。
まとめ
- 公務員試験は運も絡むため、勉強しても100%合格するとは限らないが、自身が納得する結末を迎えるために、万全の対策を尽くすべき。
- 過去問集の1~2週目くらいまでは知識が定着しづらいが、結果はその後からついてくる。
- 公務員試験の勉強は、実務においても間接的には有益なものである。
記事の後半は小難しいことをダラダラと書き綴ってしまいましたが、少しでも、公務員試験の勉強は続ける価値があるものということがお伝えできれば幸いです。